在宅ワークでの働き方が一般的になり、今後コロナが落ち着いたとしても、会社自体このまま在宅ワーク主体になりそうだという話も聞くようになりました。
実際、在宅ワークで問題なく業務が進められるようになると、会社に行く必要はさほどありません。私自身も早々に在宅ワークを開始し、もちろんデメリットもありますが、圧倒的にメリットの方が大きいように感じています。
さて、在宅ワークが主流になっていく中で、若手エンジニアが参画できる案件が減っている状況があります。
在宅ワークが主流となり、若手エンジニアが参画できる案件が減った
若手正社員エンジニアの教育問題
まずフリーランスエンジニアの話をする前に、若手正社員エンジニアの教育の話を簡単にします。
これまで事務所にて顔を突き合わせて作業を行っていた時代、若手エンジニアは、先輩社員と常に一緒に働くことで、一人前のエンジニアとして成長していきました。
新卒エンジニアを例に挙げると、入社したての4月・5月(企業によっては6月まで)は新人研修が行われ、6月・7月あたりから実際のプロジェクトに配属となります。プロジェクト配属以降は先輩社員の下で、技術的なことだけでなく現場作法や業務作法を学びながら成長していくというのが一般的な新人エンジニアの教育の流れです。
しかし2020年に関しては、コロナ緊急事態宣言発令と共に、入社したばかりの新入社員がいきなりテレワークに入ってしまいました。
当然ですが、ほとんどの企業ではテレワーク環境の中でどう研修するのか定まっていませんし、プロジェクト配属後も、先輩エンジニアが新人をどうやって教えられるのか考えられていません。
テレワークという新しい働き方の中で、どうやって会社を回していけば良いか、また現場はどう仕事をこなしていけば良いかを決め実行するのが最優先ですから、新人教育が後回しになるのは仕方ありません。
実際に新人エンジニアがプロジェクトに配属にされた後、テレワーク環境の中で実務を行いながら教育をかけていく事に苦戦している話をよく耳にします。
プロジェクトのストップが多発しエンジニアが溢れ出す
一方、エンジニアを受け入れるクライアント側も、この先の業績が不透明になってしまったことで、案件が先送りになってしまったり、リモートワーク対応で社内ルールを変更せざる得ない状況が重なり、外注エンジニアの受け入れがストップし始めました。
エージェント目線で見ると、Web会議が手探りだった3月末〜4月頃は、そもそもクライアントとコンタクトが取れずに営業すらさせてもらえない状況でした。
その後Web面談が主流になり始め、zoom等を活用した面談が行われ始めましたが、やっとのことで面談まで漕ぎつけて合格をもらっても、入場間際になって「やっぱり受け入れはできません」と決まりかけていた案件が消滅するなどの自体も多発しました。
業界では毎日何百通・何千通という案件やエンジニアの情報が流れますが、コロナ影響が出始めてからは流れてくる案件の数が一気に減り、逆にエンジニアの数が増えてきているという状況になりました。
同業種の営業さんの話を聞くと、
- 今月末10人契約が切れるけど仕事が決まっていない、来月も15人の退場が決定
- 現在、20人が待機要員として仕事が決まっていない
というネガティブな話も様々なところで聞きました。ちなみに20人が待機というと、一人30万の原価で600万の出費ですから社員エンジニアを抱える企業としてはたまったものではありません。
ちなみに契約更新のエンジニアに関しては、4〜6月の更新は2月中には進められていた為、突然4月以降の仕事がなくなってしまったというトラブルは少なかったです。とは言いつつ、業界の誰もが恐れていたのが次の契約更新。6月末で契約を切られてしまう可能性、そして7月〜9月の延長をもらえるかが見えないという空気が強かったです。
ハイスキルエンジニアを中心に案件が復活
さて緊急事態宣言が5月末に終了した頃には、クライアント側のテレワークでの受け入れ態勢が整い始めたのか、エンジニアの需要が少しずつ復活し始めました。
しかし引き合いがあるのは一人称で作業をこなせるエンジニアがメインで、若手エンジニア向けの仕事はほとんどありません。
特にロースキル案件、IT事務系の案件はほとんど無く、たまに募集があったとしても応募が殺到してしまう状況でした。
それに輪をかけて、6月・7月は新入社員エンジニアの配属の時期とも重なって、配属先が決まらない若手エンジニアが溢れかえってしまっているのが現状です。
若手フリーランスは後回しにされてしまう状況
このような状況の中で、一番被害を受けているのが若手のフリーランスエンジニアです。
コロナ影響で案件が減ってしまった為、どこのSI会社でも自社の若手正社員の配属先を営業するのに必死でフリーランスまで手が回りません。
クライアント側も外注パートナーの若手エンジニアを受け入れるのであれば、すでに現場で活躍しているその外注先の社員エンジニアが「若手エンジニアを教育をする」事を約束に受け入れます。
これまでのような一人出しがメインのフリーランスエージェントでは、現場で教育をかけてもらうことが必要な若手エンジニアの営業が出来なくなってしまっているのです。
さらには、SI会社は若手エンジニアを配属させてもらうために、これまでに無いようなディスカウントを行うケースも多く発生しています。仕事が決まらず、自社で自主勉強をさせていても仕方ありませんので、教育という名目で無償に近い単価で現場に配属させてもらうイメージです。
若手フリーランスにとっては非常に不利な状況なのです。
また、市場では一人称で業務を進められるエンジニアの需要は戻ってきています。
これはテレワークが主体の現場では、一人で自走できるエンジニアであれば、教育の難しいテレワーク環境でもパフォーマンスを発揮してもらえるためです。
逆に若手エンジニアの場合は、細かく業務指示を行わないと仕事が進められません。テレワーク主体の現場ではクライアント側の負担が大きくなってしまうので、若手エンジニアの受け入れは難しいのです。
若手エンジニアは焦って動かない・強気な営業を行わないを心がける
これまで数年間続いてきた仕事は大量にあるけどエンジニアが足りない、そのため若手エンジニアを採用して教育をかけながらビジネスを進めていた時代に変化が訪れ始めました。
コロナが落ち着いた後は、また元のエンジニア優位な状態に戻る可能性はありますが、少なくとも2020年においては、過去と比較したらクライアント側がエンジニアを選べる時代であることは間違いありません。
正直なところ、ここ数年、若手エンジニアが市場感に見合わないような単価相場で営業され、それがまかり通ってしまっていたように見受けられますが、コロナ影響にて間違いなくリセットされます。
突然の減額交渉などが入り、これまで60万で契約できていたのに次から55万・50万でと言われるケースも出てくるでしょう。
もちろん抵抗して、60万以下の仕事は受けないと突っぱねる手もありますが、それで仕事が無くなってしまったらどうしようもありません。
- 若手フリーランスエンジニアの需要が下がっている事
- いつ減額されるか分からない事
- いつ契約を切られるか分からない事
- 契約を切られた後、次の仕事が簡単に決まらない事
このような理解をしっかりと持ち、複数エージェントに登録する、資格を一つでも増やす、副業で別の収入源を確保するなど今できる事を進めていきましょう。