フリーランスエンジニアの営業活動をフォローしてくれるのがエージェント会社の存在です。
エージェント会社はフリーランスエンジニアが参画可能な案件を複数抱えており、登録面談時にエンジニアの経歴・技術力を確認するとともに、これから対応していきたい技術やフェーズ、勤務地・報酬などの条件をヒアリングして、それに見合った案件を紹介してくます。また、実際のプロジェクト参画後はエージェント会社がそのプロジェクトの実施責任者としてフォローも行ってくれます。
登録面談での印象の良し悪し、そしてしっかりと自分自身を伝えられるかどうかで、今後仕事を紹介してもらえるか、また良い仕事に巡り合えるかに関わってくる大切なイベントです。
今回はフリーランスエンジニアとして働く際、一番最初の登竜門であるフリーランスエージェントへの登録について説明しますので、しっかりと準備して登録面談に挑みましょう。
フリーランスエージェントの登録面談の流れ
エージェント会社を調べて登録面談に申し込む
すでに自分自身でお客様を抱えている場合や、営業力に自信がある方は自分自身で営業するのも良いかもしれませんが、多くのエンジニアがまず行なっているのがエージェント会社への登録です。
エージェント会社にも様々な特徴がありますので、各エージェント会社のホームページを見て、自身の働き方に合いそうなエージェント会社にホームページから登録(面談申し込み)をします。
エージェント会社の特徴は、こちらにも纏めていますので参考にしてください。
どのエージェント会社でもインターネット登録はシンプルに進められるようになってますので、さほど時間を要せずに最初の登録は可能です。
登録した当日~2,3営業日以内にエージェント会社から連絡があり、登録面接の日程を調整する流れとなります。改めて流れを箇条書きで書きますと、
- ホームページで自分に合いそうなエージェント会社・仕事を探す
- エージェント会社のホームページからエージェント登録を行う
- エージェント会社から連絡があり本登録(面談)の日程調整を行う
注意点としては、
面談前の準備
エージェントとの面談日程が決まりましたら、面談の準備です。エージェント会社から当日持ってくるものを指示されます。
指示に沿って一通りの準備を行いますが、その中で時間をかけて準備していただきたいのが職務経歴書やポートフォリオの用意です。職務経歴書・ポートフォリオなどの実績はフリーランスにとって最大の営業ツールです。
分かりやすく、自分自身をしっかりとアピールできる内容に仕上げていきましょう。
職務経歴書(スキルシート)
まず、登録者の経歴・実績を説明するための職務経歴書(スキルシート)は必須の持ち物です。エンジニアとして経験を積まれている方であれば職務経歴書を書いたことのある方が多いと思いますが、エージェント会社はこの職務経歴書を持ってエンジニアに適した案件を探しつつ、顧客への提案も進めていきますので、仕事の紹介を受けられるかどうかも職務経歴書の内容次第です。
登録面談前に、これまで携わってきた案件の情報がきちんと記載されているかどうか、OS、ミドルウェア、ハードウェア、言語、使用したツールがしっかりと記載されているか、文脈がおかしくないか、誤字脱字がないかどうかは事前に必ずチェックしてください。
それとともに、これから携わりたい技術に対して自己学習を行なっているのであれば自己学習内容も記載しておくと良いでしょう。これまでの経歴はしっかりと踏襲しつつ、今後のキャリアとして進んでいきたい技術分野もさりげなく記載しておくことがポイントです。
ポートフォリオ
また、デザイナーさんであったりWeb系のエンジニアで公開できる情報があるのであればポートフォリオに整理しておきましょう。まずは紙で見せられるように最低限の印刷をしたものを用意しつつ、パソコンやタブレットからでも見ていただけるように二段構えの準備があると良いです。またエージェント会社がエンジニアを営業する際の営業ツールとして使用するケースもありますので、ポートフォリオを公開できるウェブサイトを用意する、データとして渡せるようにしておくと後々便利です。
パソコン・タブレットを持っていく際には事前に必ず先方の許可を取るようにし、カバンから取り出す際にも一言確認するようにしましょう。エージェントの登録面談でパソコンやタブレットを取り出した事に対して文句を言われることはありませんが、顧客との打ち合わせや場所によってはパソコン・タブレットの持ち込みがNGのケースもあります。何も声をかけずにカバンから取り出してしまうと、セキュリティ観点で甘い方なのかなというイメージをもたれてしまうケースもあります。※顧客現場によっては持ち込み不可のケースもあるためです。
身分証
大手エージェント会社のフリーランスの登録面談では身分証明書の提示を求められることがほとんどですので、運転免許証や保険証などは必ず持っていくようにしてください。
筆記用具とノート
筆記用具・ノートは登録面談時には必ず持っていってください。たまに登録面談中にノートを取らないエンジニアを見かけますが、登録面談時にはエージェント会社からエンジニアに伝える重要事項も多いですから、必ずメモは取るようにしましょう。
なお、筆記用具については特別高価なものを持つ必要はありませんが、ビジネスに相応しい筆記具をチョイスするようにしてください。
登録面談時の服装について
基本的にはスーツ、もしくはビジネスカジュアルな格好で面談は挑んでください。比較的ラフな格好で面談に来られる方も多いですし、エージェント側からも気を使わないでラフな格好でお越しくださいと言われる事もありますが、登録面談がフリーランスエンジニアにとって営業の場であることは忘れないようにしてください。
間違っても穴あきのジーパン、相手に不快な印象をもたせるような服装はNGです。
エージェント会社の登録面談
続いてエージェント会社の登録面談当日です。
登録面談はこれまであなたが経験してきた業界・案件・規模・技術・フェーズ・担当ポジションなどを伝えるとともに、今後どういった仕事をしていきたいか、どんな働き方をしていきたいか、将来はどうなりたいかなどを共有する場です。また、いつからフリーランスとして働けるか、希望報酬や勤務地・勤務時間といった条件も共有します。
また、登録面談は登録者のエンジニア側からエージェントを面談する場でもあります。
そのエージェントの業務内容や特徴・実績、保有するフリーランス案件、体制比率、フォロー体制、事務手続き、支払いサイトなどの詳細を直接確認することで、そのエージェントが自分に合っているのかを見極めることができます。そのエージェント会社が保有する案件が質の良いもので案件であること、それとともにエンジニアに対して親身に接してくれる会社であるかなど、フリーランスとして働いていくにあたってタッグを組めるパートナーなのかを見るようにしてください。
面談時間は1時間程度
登録面談の時間は短くて45分、長ければ1時間前後の面談になる事も多いです。逆に30分も経たないで終わってしまったとしたら、面談としては望ましい結果にならなかったのかもしれません。エージェントとの面談は登録面談ですから、合格・不合格という回答はありません。エージェント側がエンジニアを面談してこのエンジニアには働いてもらいたいと思えば仕事を紹介してくれますし、一緒に働きたいと思わなければ、面談終了後は連絡をしてくる事もありません。
それでは、フリーランスエージェントの面談当日の流れを具体的に解説します。実際の流れを把握して、どのようなことを話すか、またどのようなことを質問するかなどを事前にイメージしておきましょう。
エージェント会社への到着時間は
面談時の訪問時間ですが、予約時間の5分前というのが理想です。面談の場合、早めの時間に到着した方が印象をよく見られるのではと考える方もいらっしゃいますが、10分前、15分前など早く到着しすぎるのもかえって迷惑になってしまうケースもあります。
5分前であればフロントでの取次、面談ブースへの案内、お茶出しなど一通り済ませて予定時間に面談開始できますので、ちょうど良い時間と考えて良いでしょう。
なお、エージェント会社のビルの作りなどによっては、ビルに到着してから会社の受付にたどり着くまでにかなりの時間を要してしまうケースもあります。初めて訪れるオフィスであれば、できれば20分・30分前に受付前までの動線を確認した上で、チャイムを鳴らす5分前まで近くで待機するのが理想です。
遅刻・無断欠席は当然ですがNGです。どうしても遅刻してしまう場合、キャンセルしなければいけない場合は電話にて連絡を入れるようにしてください。
挨拶・雑談
面談場所の多くはエージェント会社の会議スペースで行うことが多いです。大手のエージェント会社のオフィスはお洒落なところが多いので、行くだけでもテンションは上がりますよ。
実際の面談は、まず担当エージェントとの挨拶から始まります。名刺交換をしつつ、アイスブレイク的な雑談で緊張しているエンジニアの気持ちをほぐして話しやすい環境を作ってくれるのもエージェントの仕事の一つです。合わせて面談の流れを説明してくれます。
エージェント会社の会社概要とサービス説明
最初に、会社案内資料やパンフレットを見ながらエージェントの会社やサービス説明などの話があります。会社の方向性・特徴、サービスの詳細や得意分野、これまでの実績などを説明いただくとともに、フリーランスエンジニアに対してどのような支援サービスを提供してくれるかなどの説明を受けます。
会社説明後に質問時間を入れるケースが多いので、この時点で不明な点があれば確認するようにしましょう。
経歴やスキルのヒアリングとエージェントからの質問
一通りのエージェントの説明が終わると、次はエンジニアの自己紹介です。
職務経歴書をベースにこれまで携わってきた案件の業種や技術、フェーズ、ポジションなどを説明するとともに、資格取得の実績などもお話ししましょう。経歴の浅い方であれば全ての経歴を説明しても5〜10分程度で説明は終わりますが、10年・20年と経歴が長くなってくると説明だけでも相当の時間を要します。説明する経歴が多くありすぎる場合は、エンジニアを始めた頃の経歴は要約ポイントだけ話して、ここ数年の業務経歴について具体的に話した方が良いです。
事前の職務経歴書を作成する際にこれまでの経歴を振り返り、面談時に会話する内容はある程度整理しておくと良いでしょう。
一通りの経歴説明後に、エージェント側から経歴についてのいくつかの質問が入ります。実際にどれくらいの技術に精通しているのか、役回りとしてはどんなポジションでどんな部分を任せられていたのか、業務中のモチベーションをどう維持しているのか、現場での立ち振る舞いや協調性はどうなのか、勤怠はどうなのかと言った質問が多いです。
希望案件や条件の確認
次に、希望する案件や条件面についてのヒアリングが行われます。
具体的には以下のような情報を共有し、この条件によって案件を探していく流れとなります。
- 希望の案件(技術・フェーズ・ポジション・規模)
- 業務開始可能時期
- 希望の継続期間(短期・長期など)
- 希望単価
- 通勤時間、勤務時間
- 残業の対応可能時間
- 週5日以外の働き方を希望しているのであればその条件
- 月に何日か休む必要があるかどうか
- 紹介して欲しくない顧客があるかどうか
将来ビジョンの共有
フリーランスとして働いていく中で、今後どういったキャリアパスを積んでいきたいのか、また、今後どれくらいの期間フリーランスとして働いていきたいのかといったビジョン的な部分の質問も受けるでしょう。また、初めてのフリーランスの方であればどういったキャリアが積めるのかイメージがつかない方もいらっしゃるかと思います。少なくともどうしてフリーランスに挑戦することに決めたのかは話せるようにしておきたいですが、将来部分についてのイメージがつかないのであれば担当者に聞いてみるのも良いかもしれませんね。
案件紹介
一通りの面談が終わると、ヒアリングした情報をもとに希望条件に適した案件を紹介してれます。タイミングが良ければ登録面談時に紹介を受けるケースもありますが、特殊案件の場合は後日連絡を受けるケースもあります。
その場で案件を紹介してもらえたのであれば、自分自身の希望条件に合う案件かどうか、妥協できる案件であるかどうかを確認して、具体的な話に進めるかどうかのジャッジをしてください。ここでジャッジをしたとしても、その後に現場との面談が生じます。正式面談で具体的な業務内容をヒアリングして最終決定をすればOKですから、エージェントから案件を紹介されたタイミングで話を進めるかどうかのジャッジはよっぽどNG案件でない限り気楽に「進めてください」で良いかと思います。
なお、案件の紹介をされた際に一つだけ必ず聞いてほしいことがあります。紹介された現場にはエージェント会社の体制があるかどうかです。
体制のある案件であれば、フォローも含めて非常に働きやすい環境であることが多いため、まずは体制のある現場を紹介してもらうことをおすすめします。
紹介してもらった案件にエントリーする際は、今後の進め方などを共有した上で面談はお開きになります。
当日もしくは後日、現場との調整ができた後に改めて正式な面談日程の調整がスタートする流れとなります。
エージェントは基本仕事を紹介したい立場です
最後になりますが、エージェント会社側としては登録されたエンジニアを現場に就業させることで売上が立ちますので、基本的には全力で案件を探してくれるはずです。
タイミングよくエンジニアの希望する案件が無いというケースもありますが、これでエージェント会社との付き合いは終わりではありません。現場が決まったとしても数ヶ月後、半年後、1年後などにはそのプロジェクトの契約期間が終了し、次の現場を探す流れになりますし、タイミングがずれたとしても、希望に合う仕事が発生した際は連絡をいただけることが多いです。
エージェント登録して1年後、2年後に契約に繋がるといったケースも稀ではありません。
どこで一緒に仕事をすることになるかはわかりませんので、登録時に縁がなかったとしても定期的な情報交換をおこない関係を維持していくことをお勧めします。