転職活動といえば、在職中にこっそりやるイメージですか?それとも退職してから集中して行うイメージでしょうか?
在職中の転職活動は収入が途切れない代わりに、時間のやりくりが難しいですよね。一方退職後の転職活動はじっくり活動できますが、油断すると無職期間がどんどん伸びていくリスクがあります。
フリーランスの方・IT業界を中心として「人と仕事を繋ぐ」営業をしてきた私から見ると、在職中の転職活動の方がダンゼンおすすめ!
この記事では
- 在職中の転職活動5つのメリット
- コロナ禍の転職活動事情
- 在職中の転職活動での時間のやりくり
- ばれたくない人のための転職活動のコツ
といった事について解説していきます。
「なんとなく転職したいけど、最初の1歩が踏み出せない」という人にも、ぜひ読んでいただけたらと思います。
フリーランスSEの採用担当が見た「転職する気はないけど転職活動をしてる」人
とある営業仲間と打ち合わせをしていた時の事。
「実は私、もう3年くらい転職活動をしているんですよね」
と、打ち明けられました。転職活動は短期でさくっと終わらせるイメージしかなかった私はびっくり。
転職サイトにずっと登録している状態で、たまに面接も受けるけど「今の会社を特別辞めたいわけじゃない」との事でした。
では彼は何のために転職活動をしていたかというと、
- 今の会社より良い条件・環境の会社なら転職する
- 転職活動で自分の実力や年収を相対的に判断したい
- 世の中にどんな仕事があるか調査している
という理由。転職したい、というより自分の実力や世の中の需要を市場調査している感覚ですね。
彼のように大っぴらに「すぐ転職したいわけじゃないけどずっと転職活動をしている」という人は珍しいですが、在職中に転職活動をしている人の中にはこんな意識の人も少なくありません。
転職活動を在職中にするメリット5つ
「転職活動=今の会社に不満があって違う会社で働きたい人がするもの」という固定概念はありませんか?
実は、在職中に転職活動をすることによって
- 経歴に無職期間ができない、できにくい
- 自分の能力や給与・報酬の相場が知れる
- 世の中の人材需要が分かる
- 仕事が不安定な人は次の仕事を控えさせられる
- 隙間時間が自分磨きになる
という5つのメリットが得られます。
それぞれのメリットを詳しく説明していきましょう。
①経歴に無職期間ができにくい
履歴書に書いてある無職の期間が長いと、採用担当としては「こんなに仕事が決まらない人は何か問題があるのではないか」というマイナスイメージに繋がります。
在職中に転職活動をすると、次の仕事が決まってから会社を辞める事になるので無職期間はナシもしくは最低限で済みます。社会人人生を長い目で見ると大きなメリットとなりますね。
さらに在職中の転職活動は「○年○月から転職活動をしています」と自分から言わない限りは転職活動をしている期間も採用担当者には分かりません。フレッシュな応募者としてイメージアップも図れるでしょう。
②自分の能力と給与や報酬の相場が知れる
年功序列制度は無くなってきているものの、日本企業はまだまだ勤続年数に応じて昇給するのが主流。特に、異業種や異なる職種に就いた場合は給与が下がりやすいのが現状です。
ただし業界一筋で経験を積んできた人は、ライバル企業に即戦力として応募すれば今の給料よりも高い金額で交渉しやすいです。
また企業に属さないフリーランスとして独立すれば、かなり手取り報酬がアップできる可能性があります。特にIT業界を視野に入れている人は、レバテックフリーランスなどエージェントにも登録しフリーランス向けの案件もチェックしたいところ。
そんな「世の中の相場」を知って、給与と自分の能力のバランス感覚が養えるのも在職中の転職活動のメリットです。
③世の中の人材需要(必要とされる能力)が分かる
今の会社で重宝されている人でも他社ではほとんどスキルが通用しない可能性もあります。
世の中に必要なスキルは日々変化していて、転職活動で様々な求人広告を見るだけでも「どんな資格やスキルが重宝されるか」が分かりますよね。さらに面接まで進んでその会社の業務内容を聞くことで、どんな人物像が求められているかも詳しく知れます。
実際に転職しないとしても、今の会社でどのようにスキルアップに励めばいいかの指針になるものメリットです。
④フリーランスは次の仕事を控えさせられる
非正規社員の人やフリーランスの人など、正社員より仕事が長期で続く保証がない人も、在職中に転職活動をしておくのがおすすめです。いざ仕事がなくなった時にもすぐ次の仕事が見つかる可能性がアップします。
特にIT業界は「スキルに見合う案件があれば採用して業務を紹介する」という採用方法を取る会社が多いので、できるだけ多くの会社を受けておくのが賢いです。
いざ案件が終了したときに「良い案件があれば紹介お願いします」と連絡を取ると、エージェントが案件を紹介してくれますよ。
⑤隙間時間が自分磨きになる
空いた時間はスマホゲーム、帰宅したら寝るまでテレビを見ながら深酒、といった時間の使い方をしていませんか?在職中に転職活動をすると、これらの時間が企業のリサーチや面接の練習に充てられます。
いくら能力が高い人でも、自己研鑽をしないと成長しません。取りたい資格がない人や昇進試験が無い会社の人は、転職活動がかなり良い社会勉強になりますよ。
コロナ禍で様変わり!在職中の転職活動はこう変わった
在職中の転職活動のデメリットは「面接の時間を確保しにくい」という事です。面接を受けるたびに有給を消化していると会社の目が気になりますし、そもそも激務で全く時間が取れないという人もいるでしょう。
しかし、新型コロナウイルスで採用面接がガラリと様変わりしたのをご存知ですか?エントリーから採用まで、自宅から1歩も出なくても進められる企業が増えてきました。コロナ禍で転職活動を始める人も急増し、転職市場はかなり活発に動いているんです。
この活発な転職市場に乗り遅れないように、次に解説する「現代のリアルな転職事情」を押さえておきましょう。
「とりあえずエージェントに登録しておく」人が急増
新型コロナウイルスに端を発した経済低迷は、いつまで続くか見通しが分かりません。なので職を失ったときに備えて転職エージェントやフリーランス向けエージェントに登録する人が急増しています。
私が以前営業をしていたIT企業でも、2020年夏ごろから応募者が増えているとの事です。実際に応募する人が増えている状態なので、登録だけ済ませている人の数はもっと多い事が予想されますね。
いざ失職したときや会社の業績が悪くなった時に乗り遅れないよう、エージェントの登録だけでも済ませておくのがおすすめです。
なお、ITエンジニアであればITに特化したエージェントがお勧めです。
転職エージェント:DYM IT転職
フリーランスエージェント:レバテックフリーランス
リモート面接は当たり前に!最初から最後まで在宅の会社も
リモート環境が整っている企業では、応募から面接、採用後のチュートリアルまで全てオンラインで行われることも珍しくありません。
リモート面接可の企業なら、在職中で面接の時間を確保するのが難しい人でも受けやすいですし、交通費もかからず合理的です。
実は多い!時間がない人向けに定時後の面接OKな会社
基本的に採用面接は定時内に行われる事が多いのですが、昨今の人材不足を受けて定時後に面接を設定する企業が増えてきました。具体的には19時開始くらいまでは対応してくれる企業が多い印象です。
「在職中だから定時内の面接は受けられないな」と諦めていた人は、定時後の面接を設定してもらえる会社を探してみましょう。
在職中の転職活動、ばれたくない時や休む時の理由はどうする?
勤務中に転職サイトを閲覧するなど明らかな転職活動をしていなくても、頻繁に有給や遅刻・早退を繰り返す人がいれば「転職活動でもしているのかな?」と周囲が勘ぐる事があります。
転職活動をしているのがばれると、昇進や昇給に影響したり会社に居づらくなってしまう事もありますよね。
続いては
- 有給を取る時に使える理由
- ばれにくい有給の取得頻度
- もしも転職活動がばれたらどうする?
といった事について解説します。
有給を取る時、基本は理由を言わなくてOK
労働基準法第39条5項によると「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。」とあります。有給は労働者の権利なので、理由なしで取得可能だと法律で定められています。
ただし繁忙期など業務に影響する時期の有給は使用者が代替日を提案できるようになっています。転職活動に限らず有給休暇を申請する際は、職場全体に影響が少ない日を選ぶようにするとスムーズかつ自然に有給が取りやすいですよ。
有給の理由を言わないといけない空気の時は「家庭の事情」が無難
とはいえ、まじめな人は「○○しないといけないので有給いただきます」と理由も言わないと心苦しくなってしまう事も多いかと思います。そんな時は「家族の通院の付き添い」など家庭の事情を表向きの理由にしておくと自然で繰り返し使えますよ。
休みすぎは転職活動がばれるかも!有給は2~3週間に1度がおすすめ
有給が取りやすい職場であっても、頻繁に有給を取ると「何かあったのかな?」と勘繰られてしまいます。私は多い日で1日5人の面接や、1日に3人の退職相談など“入れ替わりの激しい職場”で勤務した経験がありますが、有給の頻度が多いと転職活動をしているなと心の準備をしていました。
私や周囲の採用担当者の感覚だと1週間に1回以上は多いなと感じます。2~3週間に1回、もしくは月に1~2回が周囲に不自然さを感じさせない回数でしょう。
在職中の転職活動、ばれた人はどうした?
実は在職中の転職活動は、自分から話さない限りばれる事はほとんどありません。勤務時間外に転職活動をしているなら、就業規則や労働基準法に抵触する事はないですし、個人のプライベートにかかわる事だからです。
また、仮に転職活動がばれたとしても企業に転職活動が理由で解雇する権利はありません。逆に引き止めるために逆に待遇が良くなったり、業務内容を見直してもらえたりするケースも近年よく見られます。
職場の空気が居づらくないのであれば、転職活動がばれてもそのまま勤務し続けるのがベター。ただし表立って転職活動を続けると社内でのイメージが悪くなってくるので、やはりなるべく分からないように活動すべきです。
「決まったけど辞めません!」フリーランスSEの担当営業はどう思った?
採用したいと連絡があったけれど、今の会社を辞める気がなかったら困ってしまいそうですよね。でも、採用通知を断るのは全く問題ない事なんです。
私が採用と人材関係の営業をしていた2013年~2017年ごろ、私の会社では5人に採用通知を送ってやっと1人採用になるくらいの割合でした。合否を検討している間に他社に採用が決定していたり、面接の際に聞いた業務内容が自分に合わないと断りがあったりというケースが多かったんです。
なので「採用の通知が来てしまったけど入りたくない、どうしよう」と気に病む必要はありません。じっくり業務内容や条件を検討して、自分に合うと思ったら思い切って転職し、合わないと思ったら丁重にお断りすれば大丈夫。採用担当としては、それ以上何も思いません。
ただしお断りする際は、連絡を無視するのはNGです。電話やきちんとした形式で書かれたメールで返事をしましょう。誠意のない断り方を続けていると、エージェントや転職サイトで悪評が立つ可能性も否定できません。
【まとめ】転職活動は退職後より在職中!リモート面接やエージェントを上手く利用して
在職中の転職活動というと、時間が無かったりばれるリスクがあったりとマイナスイメージを持つ人が多いです。
しかし
- 無職期間がほとんど生まれない
- 自分の実力や世の中の需要が知れる
- 転職活動がばれて逆に今の会社の待遇が良くなった
というようなメリットもたくさんあります。
頻度や表向きの理由に気を配れば転職活動で有給を使ってもばれにくいですし、もし採用通知が来ても合わない会社なら断ってもOK。
コロナ禍で転職サイトやエージェントに登録する人が増えている昨今、安定している会社に在職中であっても保険のために転職活動を考えておくのも良いですね。