フリーランスエンジニアが参画する案件を探す際に、ほぼ必ず提出を依頼されるのが「職務経歴書」です。
エンジニアという自身のスキルが商品になる働き方においては、「自分が何ができるのか」を説明することのできる職務経歴書は最も重要な営業ツールと言っても良いでしょう。
本記事では、ネットワーク系寄りのフリーランスエンジニアのための、職務経歴書の書き方を、ご紹介致します。
フリーランスエンジニアにとって、職務経歴書は唯一の営業ツール
フリーランスエンジニアが案件を獲得する際は、「自分がどういう業務をどのレベルでこなすことができるのか」という、フリーランスエンジニアとして対応可能な経験や技術・業務スキルをアウトプットしてお客様に判断を委ねます。
そこで必要となってくるのは、職務経歴書です。
職務経歴書では、過去の「参画プロジェクトの詳細や立場、所属期間」のほか「スキルや技量」「所有資格」を明記することができます。
「この依頼をしたい」と考えるクライアントにとって、エンジニアの方向性や技量を見極めることができるのは、ヒアリングの手間も省けますし、何より「時間を割かない」という、お互いにとって、名刺以上の大きなメリットとなるでしょう。
ネットワーク系フリーランスエンジニアの職務経歴書はどんなものか
実際に、職務経歴書の中身をみてみましょう。
まずはメインとなる「職務経歴」ですが、下記の表を元に「直近のものから」順に、表現しています。
下記「■2017年11月~現在::フリーランスとして・・・」という記載がありますが、これはご自身の「フリーランスとしてのキャリア」「本職としてのキャリア」「前職のキャリア」という形で分け、整理しています。
この表を左から順に説明していくと、下記となります。
- 期間・・・このプロジェクトに携わった期間を書いています。何年何月からいつまで、何か月間、と書くと親切です。
- プロジェクト名・内容・・・具体的な社名やシステム名はイニシャル程度にとどめます。表題とインフォメーション、具体的な内容を、数行でまとめました。しかし、この部分が最も重要なポイントになるので、抜け目なく、分かりやすくまとめてあげる必要があります。
- 環境・・・プロジェクトの中で登場した機器や環境を記載しています。有名な機器やシステムをここで登場させると、ちょっとしたアピールポイントになります。
- 対応フェーズ・・・どの案件も移行フェーズというものがありますが、システム全体において、具体的にどのフェーズまでを担当したか、を記載していきます。
- 役割・規模・・・ここの表現はプロジェクトに寄るのですが、プロジェクト全体でも、サーバチームやネットワークチーム、取りまとめのマネージャーなど、役割は多岐にわたります。プロジェクトが終わってみて「あれ?自分のポジションって何だっけ?」と考えることはざらにありますが、主体的に動き、5割程度を担当したのであれば、サブリーダー、7割以上を担当したのであれば、リーダーと名乗っておいてもよいかもしれません。
また、表の下の行には、2番目に新しいプロジェクト内容を記載していきます。
上記のように、得意分野や経験なども、箇条書きでまとめています。
ここで、自分自身の「やれること」を明白に伝えることができます。
ここで欲張って沢山かくのもよいですが、クライアントは一意に「これを依頼したい」とピンポイントでの要件となるため、見やすく「5個ぐらい」に整理しています。
いくら箇条書きでも、あまりだらだらと紹介していると、読み飛ばされてしまうことがあります。
技術スキルでは、自分に「具体的にどのような経験があるか」をまとめます。
こちらは「クライアントの要件に合致するものはあるか」を探し出す性格のものですので、いくらでも盛り込んで構いません。
保有資格については「ネットワークエンジニアとして関連するもの」をピックアップします。
ここで、無関係の資格等を挙げてもよいのですが、「分かりやすくまとめたい」意向であれば「自動車運転免許」「TOEIC」程度の、汎用性が高いものに絞るか、エンジニアの中でも別分野の資格をあげたほうが無難です。
忘れてはいけない、職務経歴書のアップデート
職務経歴書は、日々の経験の中で次第に古くなっていきます。
例えば、正社員として企業に属しておきながら、フリーランスも営んでいるエンジニアだと、作成した職務経歴書が僅か2週間程度で、古いものとなっていきます。
そのため、職務経歴書は「あとから編集しやすい形式」に作り込んだほうが良いでしょう。
前述でご紹介した「職務経歴」の表では「やってきたプロジェクト順」ではなく、あえて「日付の新しいプロジェクト順」にソートしています。
これは携わっている「最新のプロジェクト」が一番前面に押しだされる状況となりますし、読み手としても「人の遍歴を見る」には、現況から過去に向けて遡っていった方が、インデックスとして、見やすいのです。
まとめると、基本は「職務経歴」を更新していき、変動の少ない「得意分野・経験」や「保有資格」などは時々メンテナンスし、「技術スキル」については、時と場合によって更新を進める、というやり方であれば、そんなに難しいものでは無くなります。
また、職務経歴書を提出した際に、クライアントに「これってどういうこと?」という質問を受けた項目に関しては、再検討の余地があるかもしれません。
その部分に新たな構成を加えることで、説明する自分自身にとっても、選考するクライアントにとっても、理解と時間を増やすことができる一手になるはずです。
特に、職務経歴書については、エージェント会社にチェックしてもらうなど「第三者の目」からチェックしてもらった方が、より見やすくて精度の高い職務経歴書を作成することができるでしょう。
ネットワーク系らしい、職務経歴書の小技
前述の通り、何も個人の職務経歴書については、過去の顧客やシステムの詳細を語る必要はありません。
呼称についても「A社・Bシステム」等とボカすことができますし、むしろ「エンジニアとして、クライアントの機密保持を率先する」立場としては、是非ともやって頂きたい施策です。
では「不特定多数、ではないが、公共のアップローダやメール/チャット送信などで、職務経歴書を送付するのもアリでは」と思われた方は、非常に鋭いと思います。
Microsoft OneDriveやGoogle Docsなどを用いた共有であれば「職務経歴書へのURLを知る人であれば、閲覧ができる」というオプションも備わっています。
またこのクラウド型ドキュメントは、なかなか便利でして、都度都度のタイミングで、様々な端末から職務経歴書をアップデートすることもできます。
クライアントは常に最新化された職務経歴書を見ることができますし、エンジニアとしても、リビジョン管理をする必要がなくなるので、この上なく便利になるのです。
クラウド型ドキュメントは「やり直し」がやりづらい性質を持っていますので「ある期間に記載した内容」「最新の記載内容」を分けて運用していった方が、良いかもしれません。
しかし、この方法には注意も必要です。
ある程度「個人を特定できる情報」が記載されているうえに、「副業禁止の会社」に属している状況だと「他の所属会社員にそれを見られてしまう」危険性があります。
「公開については、限定期間内にとどめる」「宛先はクライアントのみに絞る」など、きっちりと自分で管理して行った方がよいでしょう。