IT業界は10年20年前に比べてかなり女性が増えてきました。でも、女性エンジニアで産休育休を経て時短勤務で現場復帰するケースはまだまだ少ないのが現状です。
そこでこの記事では、私がIT業界の営業の中で見た「女性SEと妊娠出産・育児を取り巻く環境」について解説します。
筆者自身も2児の母となり産休育休や保活を経験したので、リアルな目線でお伝えできたらと思います。
出産を機にIT業界から離れた女性!子育て終了後に復帰はできたのか
私が担当した40代前半のAさんは、小柄で清潔感のある女性でした。人柄も良く、コミュニケーションも問題なかったのですが、就職活動に難航していました。
希望する案件はプログラマー(PG)かテスターで、経験したことがある言語は組み込み系のC言語。
これだけの条件だとすぐに現場への参画が決定しそうなものでしたが、実はAさんには大きな問題があったんです。
それは「IT業界のブランクが15年ある」という事でした。
SEPGで3年働いた後退職、復帰したい頃にはブランク15年
Aさんは大学卒業後、大手IT企業に就職して3年間テスターやPGとして勤務しました。その後結婚し、お子さんが生まれ、しばらくは時間の融通の利くスーパーのパートとして働いていました。
お子さんが中学生になったタイミングで、再びフルタイム勤務に復帰しようと私のところに面接へやってきたんです。
独学でJavaを習得するものの、未経験扱いで案件は見つからず
もちろんAさんも約15年のブランクは厳しいと事前に予想し、独学でJavaの勉強を進めていました。
その点もふまえて私はAさんのスキルシートを作成し、つながりのあるクライアントに提案していきましたが「15年のブランクは未経験に等しい。それだったら20代の若手を採用する」と言われ続けて歯がゆかったのを覚えています。
結局面談が設定されたのはテスター業務の1件のみ、その案件も他社の若手で充足してしまいました。
Aさんは現在もそのままスーパーのパートを続けながら、IT業界への復帰を目指しています。しかし、40代以降は年齢が上がれば上がるほど未経験での採用はより厳しくなっていくことが予想されます。
SEが産休育休後に復帰する難しさとは
男女雇用機会均等法で「女性の社会進出」が推され始めてから40年近くたちました。しかし出産直前まで雇用されている女性の中で、産後1年程度で社会復帰する人は変わらず4割弱です(参考:厚生労働省HP)。
これは全業種・全職種のデータなのですが、IT業界に勤務した経験と実際に自分が産休育休を取得して社会復帰した経験から見ると「IT業界はもっと少ない」と感じています。
続いては、女性エンジニアが産休育休後に復帰する難しさを解説していきますね。
時短勤務での復帰は雇用先の社内案件がないと厳しい
通常、クライアントは1日8時間勤務でスケジュールを組んでいます。さらに育休明けは子供の急な病気やケガで月に何度も欠勤早退することが珍しくありません。
なので差別するつもりは無くても、常駐・出向する案件は育休明けで時短の女性エンジニアは敬遠されがちです。
女性エンジニアで育休明けの現場復帰をしている人は
- 夫や両親のサポートでフルタイムに近い勤務ができる人
- 雇用されている会社に長期の社内案件がある
という人にほぼ限られているのが現状です。
客先常駐型では時短勤務は非正規雇用になるケースがある
もしも出向・常駐型の現場で復帰できたとしても、育児が落ち着くまでは契約社員やパート社員など「非正規雇用」に切り替わってしまう人も少なくありません。
雇用主から見るとクライアントから支払われる報酬は働いた時間分なので、エンジニアに支払う給与の方が多くなってしまうことがあるからです。
非正規雇用だと子供の都合で休むとその分給与が減ってしまいますし、また現場終了後に次の現場が決まるまで期間が空くと一旦契約終了で無給になるので、できれば避けたいところです。
時短終了までは事務作業など、現場から離れる人も
社内案件に空きがない場合は、開発部門以外の部署に一時的に異動する事となります。雇用は維持されるのですが、エンジニアとしては現場経験のブランクができてしまいます。
キャリアアップしたいママさんや、現場作業が好きなママさんにはストレスとなるでしょう。
社内案件がない!ママSEがブランクを最小限にする方法
産休育休後のママに限らず、ITエンジニアはブランクが少ない方が希望の案件に参画しやすくなります。でも産休育休を挟むと、現場復帰できるかどうかも微妙・・・というママさんも多いことでしょう。
続いては、時短勤務でも育休直後でもエンジニアとして就業する方法をご紹介します。
リモートやフレックス可能なエンジニア案件を優先してもらう
2020年の新型コロナウイルスの影響で、リモートワークに力を入れる企業が増えてきました。これはママさんたちにも朗報で、子供と一緒にいながらマイペースで作業できるというメリットがあります。
また、コアタイムに出勤していれば出社・退社時間が自由な「フレックス制」を導入している現場もおすすめです。子供の急な発熱などで少し遅れて出社しても、遅刻扱いにならないからです。
これから産休育休を取得する予定の方は、休みに入る前に「リモートやフレックス可能な案件を優先してください」とあらかじめ伝えておくとスムーズです。
自社開発案件豊富な会社に転職する
「妊娠出産を考えているけど、自社開発が少ない」と感じている人は、早めに自社開発案件が豊富な会社に転職しておくのも良いでしょう。育休復帰後に時短でエンジニア業務に携われる可能性がアップします。
ただし育休は就業1年未満だと取得できない企業も多いので、転職してすぐの妊娠だと育休が取得できないケースもあります。注意しましょう。
経験豊富なママはフリーランスもおすすめ
SEPG業務が一人で一通りこなせるスキルを持っている人は、雇用形態にとらわれずフリーランスエンジニアを目指すのもおすすめです。1ヶ月で完了できる案件や、面談も作業もリモートでできる案件に出会えるかもしれません。
また復帰後に非正規雇用になってしまいそうな人も、保険としてフリーランスエンジニア登録しておくとブランクが出来にくくなるでしょう。
ちなみにフリーランス向けの案件が豊富なのが【レバテックフリーランス】です。レバテックは非公開案件がなんと80%以上!無料会員登録で、子育て中のママにもマッチしやすい案件を紹介してもらえますよ。
【まとめ】SEは産休育休でブランクができやすい!賢くスキルアップを
ITエンジニアは産休育休でブランクができやすく、上手く復帰できたとしても難しい働き方になる人が多い職種です。ずっとIT業界でキャリアアップしたいなら、産休育休後の働き方を妊娠前から考えておくのがベスト。
リモート・フレックス可能な案件や、自社開発豊富な会社への転職、いざという時のフリーランス登録などで子育てとエンジニアの両立を図っていきましょう。