50代SE「なるべく楽な仕事が良いです!」エンジニアが責任重い仕事を避け続けた結果

連載!フリーランス営業体験記

IT業界の現場は、上流になればなるほど責任や重圧がかかりがちです。なので、ずっとテスターや下流PGでいたい方もいるのではないでしょうか?

そこでこの記事では、40代や50代のSEでも「楽な仕事をする方法」や「楽な仕事をし続けた人はどうなるか」をまとめました。

フリーランスのITエンジニア向けに現場のコーディネーターをしていた私が、実際のケースをもとに解説します。

50代SEが楽な仕事に就きたがった理由

私が担当していた50代半ばのKさんは、20代の頃からIT業界にいるベテランエンジニア。テスター、PG、SEと一通り経験していて、言語は汎用系もWeb系も理解がありました。

ただ一般的に50代の方のキャリアは「マネジメント業務」がメインになる事も少なくないのですが、Kさんには全くマネジメント経験がありませんでした。

「単価は低くて良いので、なるべく楽な案件をください」

私たちコーディネーターは、まずエンジニアの方を面接してスキルや経験・人間性を理解した上で案件を紹介していきます。Kさんの面接では、スキル・経験・人間性ともに問題ないと判断し、私が抱えている案件をすぐに紹介していきました。

ところが、どの案件もKさんは渋い顔で断ってしまいます。

Kさんのスキルでは役不足でしょうか・・・?と聞くと、「いえ、どの現場も大変そうだなと思いまして」との返答。続いて「もっと楽な現場はないでしょうか?単価はどれだけ安くても良いので」と、気まずそうに話されました。

ITエンジニアはスキルアップすればするほど責任が重くなる

詳しく話を聞くと、Kさんはスキルが高いうえに穏やかな性格なので、どんどん仕事が回ってきてどの現場でもオーバーフローしがちとの事でした。

いちプログラマーとして参画している時は残業で対応していたKさん。ですが、年齢や経験を重ねるごとに責任者としての立ち回りを求められ、次第に現場にしんどさを感じるようになってきました。

そこで思い切ってフリーランスに転身し、なるべく責任を求められない「いち作業員」の現場を探そうと私の会社にやってきたのです。

上流SEやマネジメント業務は責任が重く、残業も多い傾向にある

上流SEやPM(プロジェクトマネージャー)・PL(プロジェクトリーダー)といった職種は、以下のように精神的にきつい業務が多くあります。

  • 工程管理や客先との納期調整
  • 思わぬ仕様変更による客先や現場との調整
  • 現場のメンバー管理や対人関係のサポート

十分なスキルがあるメンバーがきちんと集まり、当初の仕様通りにプロジェクトが進んだら精神的な負担は少ないのですが、そんな現場は「かなり稀」です。

メンバーが足りない状態で案件がスタートし、どんどん予定は押していく。メンバーの残業が増え予算が圧迫されていく。さらにメンバー同士で人間関係のトラブルなんて発生した日には、責任者のほうが泣きたくなってしまうでしょう。

また最近は外国籍のエンジニアも増えていて、コミュニケーションや異なる常識の間で難しい調整を強いられているPMも少なくありません。

※ただし、予算や納期を決定したりメンバーを集めるのはクライアント側の役割なので、必要以上に気に病まない方がいいですよ。

残業がほとんどない現場に決定した50代SE!しかし・・・

さて「なるべく楽な仕事」を求めていたKさんは、ほぼ予定通りに進捗している既存システムの改修案件にPGとして参画が決定しました。現場担当者に確認したところ、マネジメント業務にやや残業があるものの、SEPGは定時で上がれているとの事でした。

通勤もKさんの自宅から片道30分ほどで、身体的負担も少ない好条件。Kさんは順調に勤務し始めました。

経験豊富なのと周囲のスキル不足により徐々に負担が増えていく

ところが、参画から1週間も経たないうちにKさんから「楽な仕事と聞いていたのに、結構しんどいです」と連絡が入りました。すぐに定時後に技術者面談を設定し、事情をゆっくり聞くことに。

Kさんの参画していた案件は若手PGが多く、Kさんが参画する前は若手のフォローや質問対応にPMPLも当たる状態でした。なのでKさんが参画すると、若手はKさんをどんどん頼るようになっていました。

すると若手とマネジメントメンバーとの調整業務も増え、Kさんはすぐに余裕が無くなってしまったのです。

現場を抜けたいエンジニアと責任者の攻防

翌日すぐに現場担当者に事情を話し、Kさんの負担を軽くしてもらうよう頼みました。が、若手PGは優しい性格のKさんにどうしても頼ってしまうようでした。結局1ヶ月足らずでキャパオーバーしてしまったKさんは、現場を抜けたいと申し出てきてしまいます。

現場担当者からは「なるべく負担を減らすので、残ってほしい」と引き止めがありましたが、やはり3ヵ月目で「状況が変わらない」とエンジニア都合の終了となってしまいました。

楽な仕事がしたい50代SE、自己都合での短期終了が続いた結果

Kさんのように、周囲より年齢もスキルも高いエンジニアはどうしても頼られて負担が大きくなりがちです。そこで「しんどいから」とすぐに現場を終了しても、スキルがあれば次の現場が決まりやすく、気軽にエンジニア都合の終了にしてしまう方も少なくありません。

Kさんも初めは次の現場がすぐに決まっていたのですが、意外な結末をたどることになります。

その後も残業や責任の重さで短期終了を繰り返すSE

私が初めて紹介した現場は3ヵ月で終了しましたが、その後もKさんは2~3ヵ月の短期で案件を抜けてしまいます。そのうち、私や私の会社の他営業が持っている案件のどれも条件が当てはまらなくなってしまいました。

複数のエージェントに登録するも、客先が慎重になり案件が決まらない

どんどん案件に参画しない空白期間が増えていくKさんは、フリーランスエージェントのほかにも複数の転職サイトに登録しました。しかし、どのエージェントでもKさんのスキルシートやこれまでの終了理由では現場担当者が採用に慎重になり、案件が決まりません。

最後に私がKさんに連絡を取った時は、1年以上何の案件にも参加していない状態でした。

テスト案件で1年参画した後、IT業界から離れ工場勤務へ

その後大規模な案件にテスターとして参画したKさんは、契約どおりの1年間プロジェクトに携わりました。しかし、その後はIT業界から離れて自宅近くの食品工場で働き始めたと営業仲間に聞いています。

何度も落ち続ける面談に疲れた、何も考えずに働ける職場はIT業界では難しい、とKさんは周囲にこぼしていたそうです。

【まとめ】IT業界で楽な仕事に就き続けるのは難しい!フリーランスも視野に入れて

IT業界では、スキルが上れば上がるほど責任や仕事量が増える傾向にあります。楽な仕事も無くはないのですが、あまりに案件を選り好みしているとどんどん案件が決まりにくくなってしまうでしょう。

フリーランスとして独立すれば比較的自分のペースで仕事ができるので、独立も視野に入れられると良いですね。ただし充分なスキルがないと逆に選択肢が狭まってしまうので、なるべく若いうちに経験を積んでおくことをおすすめします。