数ある営業職の中でも、IT業界の営業は「キツイ」「離職率が高い」と言われる事が多いです。どうしてIT業界の営業はきついと言われるのでしょうか?
人材系の営業を5年行った私が、IT業界の営業のリアルをお伝えします。
- IT系の営業の仕事内容
- IT系の営業できつかったこと
- IT系の営業でスキルアップすること
についてまとめていますので、IT系の営業を目指す人やIT系の営業に内定して不安になっている方は参考にしてみてくださいね。
ITの営業はきついと言われる!仕事内容や他の営業との違いは?
まずは、IT系の営業の仕事内容を詳しく見ていきましょう。口コミでは
- IT企業はブラック企業が多い
- 勤務時間外もメールや電話の応対がある
- 飲み会や交流会が多い
とネガティブなものも少なくありません。実際の仕事内容はどうなのでしょうか?私の経験をもとにお話しします。
ITの営業の中でもSESなど人材系は離職率が高い
IT系の営業には大きく分けて2つあり、
- システム自体を企業に売り込む
- エンジニアを開発案件に売り込む
という2種類に分けられます。どちらも行う企業もあれば片方だけの企業もあります。
一般的にきついと言われるのは「エンジニアを開発案件や企業に売り込む」SESと呼ばれる営業で、私もこちらの営業を担当していました。
IT(SES)営業の主な仕事内容
SESとは「システムエンジニアリングサービス」の略語で、IT系でありながら人材・人事系の側面も持ちます。
SESの営業を簡単に説明すると「システムを開発しているクライアントから人材不足の情報を得て、案件を探しているエンジニアとマッチングさせる」という営業です。
エンジニアを適材適所に送り込む必要があるので、IT系の知識を持ったうえでエンジニアの人柄や経験・能力を1回の面接で見抜く必要があります。最初は難しく感じますが、確実にキャリアアップやスキルアップに繋がりますよ。
クライアントを訪問し人材の需要をヒアリング
多くのマッチングを成立させるためには、案件情報を豊富につかんでおく必要があります。私は1日に平均3社訪問や来社予定を入れるようにし、まめに情報交換を行っていました。
打ち合わせ内容は具体的に
- 案件で不足している人材の人数やスキル
- 1人当たりの予算
- 今後始まる大型案件の情報
- 案件がなく待機中の人材を紹介
といった事を聞き出します。
今人材不足の案件がない場合でも、担当しているエンジニアで待機中の人を積極的に紹介します。意外なマッチングがあるので、常にスキルシートを5人分くらい持ち歩いていました。
人材発掘のための面接
人材不足の情報を頂いても、紹介する人がいなければ商談になりません。紹介できるエンジニアを発掘するために、私の会社では1ヶ月に20人(平均1日1人)の面接を目標としていました。
未経験でエンジニアを目指す若手から、IT業界の経験が20年を超えるベテランまで、多い日で1日5人面接することも。
毎日たくさん履歴書を見るので、IT業界だけでなく幅広く職業の知識が身に付きました。
クライアントとエンジニアの面談同席、フォロー
クライアントに紹介したエンジニアのスキルが案件にマッチしたら、実際にエンジニアのと会ってもらう「面談」が設定されます。就職面接ではないので、スキルを補足したり自己アピールが苦手なエンジニアのフォローを行ったりします。
紹介したエンジニアがまだ別案件に参画しているケースも多く、面談は平日の定時後に行われる事も。「面談後直帰する」というスケジュールも珍しくありませんでした。
エンジニア参画中案件の状況確認やクレーム対応
クライアントとエンジニアの面談が問題なければ、晴れて案件に参画決定となります。私は「1案件に1~2人」を10件ほど担当していましたが、多い人では「1つの案件に30人」「合計50人担当」という事もありました。
無事開発が進めばいいのですが、何か問題が起こる事も少なくありません。
- 思ったよりエンジニアのスキルが足りない
- エンジニアから現場を抜けたいと申し出る
- ハラスメントや心の病に関するクレーム
- 残業が多すぎる等、勤務体系についての問題
といった問題が起こるので、単価や交代要員も使いながら調整していきます。問題が起こる前や大きくなる前に対処するのも大切なので、何も問題ない現場でも月に1度はエンジニアにヒアリングを行っていました。
同業他社の営業と情報交換
クライアントと自社社員・自社所属のフリーランスエンジニアだけではマッチングの幅が狭いので、同業他社の営業さんとも情報交換を行います。
IT業界は年齢層が比較的若く、飲み会や休日のスポーツ大会(フットサル・テニス・マラソン・ゴルフなど)に誘われる事も多いです。趣味が合えば楽しく参加できますよ。
ちなみに私はスポーツだとマラソン、フットサル、ロードバイク、テニスの集まりによく参加していました。
IT営業できつかったこと5選!人間不信になる?
それでは、私がIT業界で営業をしていて「きつい…」と感じたことを5つ紹介します!どれも落ち込みましたが、今となってはいい経験で私自身のスキルアップに繋がっています。
①日時を設定した面談や参画初日にエンジニアが来ない
「クライアントにわざわざ日時を空けて頂いた」面談に、紹介予定のエンジニアが遅刻する、来ない、という事が多々ありました。
面談寸前にキャンセルを申し入れるのは精神的にきついので「前日に電話でエンジニアに確認」「面談前に駅で集合し、喫茶店で打ち合わせしてから面談に行く」等保険を掛けるようになりました。
こまめに確認するクセは、別の仕事をしている今でも活きています。「確認不足」のミスがほとんどないと、業務の効率が格段にアップしますよ。
②エンジニアの交代をクライアントから要請される
せっかく参画が決定した案件でも、エンジニアのスキル不足やコミュニケーションの問題で交代を言い渡される事がありました。ぽん、と交代要員を紹介出来たら良いのですが、マッチングするエンジニアがいない場合は他社に空きを取られてしまいます。
この時に必要なのが「スピード感」です。素早く対応することでクライアントからの評価が逆に上がりますし、交代されるエンジニアへのフォローも行いやすいです。
仕事のスピード感はどの職種にも活きるので、経験しておいて損はありません。
③クライアントからの単価が上がらずエンジニアが他社案件へ
案件やエンジニアのスキルに問題なくても、長期間エンジニアへの報酬が上がらないとエンジニアは他案件への参画を考えます。単価見直しのタイミングで据え置きとなってしまったら、自社の利益(営業の売り上げ)を削って対応することもありました。
④エンジニアとクライアントが直接契約を結んでしまう
一応業界では御法度なのですが、クライアントとエンジニアが私の会社を通さずに直接契約を結ぶケースもありました。私の売り上げは1件分飛んでしまうし、案件の空きもエンジニアの空きもないので全くフォローできません。
数字を取り返すためには、1から案件やエンジニアを探さないといけないのできつかったです。
⑤人材や案件の不足・充足で営業の数字が上がらない
今時「ノルマ」はありませんが、やはり営業は数字を上げるのが仕事。私もどんどんエンジニアを売り込んで、営業成績を上げよう!と意気込んではいましたが、なかなか難しいのが現状です。
リーマンショックの後は大規模な派遣切り、近年は逆に人手不足、と需要と供給のバランスが悪いと思うようにマッチングしません。1日に何件訪問しても新しい情報が得られなかった日は、結構落ち込みましたね。
【まとめ】IT営業はきつかった!けどスキルアップになった
IT業界の営業でリアルに感じたことを紹介してきましたが、どう感じられましたでしょうか。
「やっぱりキツそう」「自分には無理かも」と思ったかもしれませんが、ITの営業はそれに見合うだけの経験値が得られます。具体的には
- 営業・コミュニケーションスキル
- 人事・面接スキル
- IT言語やサーバーの知識
- エンドユーザーの業界情報
- 仕事に対しスピード感を持てる
といった具合で、もし転職する時も「どこでも通用しやすい」です。
もしも「新しい職種でキャリアアップしたい」と考えているならぴったりの仕事なので、気になっているなら挑戦してみてくださいね。
筆者プロフィール
お名前:へみ
大学卒業後、関西で建設業・IT業界・製造業で人材派遣(汎用系、Web系、3DCADでの設計)の営業を5年間経験。自社社員の営業やフリーランスエンジニアとのやりとりを数多くこなす。
現在は寿退社し夫の家業である製造業の経理に従事。2児の母。
2016年からは副業で美容系ライターとしてWebメディアに数多く寄稿。2020年3月からは自身で美容系のWebメディアを立ち上げた。
趣味は美容研究、クラシック音楽、レース編み、ロードバイク。
Webメディア:30歳からの美容研究
Twitter:@hemmi81415047