様々なプロジェクトを経験しているベテランエンジニアであっても、現場入場初日のタイミングでは緊張するもの。
入場直後の人間関係の構築によって、その後スムーズに仕事を進められますし、逆に最後までチグハグとした環境の中で仕事をせざる得ないケースもありますね。
出来ることであれば、既に配属されているプロジェクトのメンバーやリーダーが気を遣って声をかけてくれれば良いですが、そんな空気ではない現場も多いのが実情。
今回は、フリーランスとして現場で働くにあたって、自ら働きやすい環境を作る現場作法についてお伝えします。
プロジェクト参画前に考えておくこと
プロジェクトに参画するにあたって、相手に与える印象を事前に考えることは重要です。
新しいプロジェクトに参画すると、新しい人間関係が始まります。そんな中で、関わる人に「どんな印象を与えるか」ということは仕事をする上でも大きく影響してきます。
なぜなら、プロジェクトでは1人で仕事を進めることができないからです。
もし自分がプログラムを書くとしたら、そのための設計書を作成した人がいます。
自分がテストをするなら、プログラムを書いた人、テスト項目を作成した人がいます。
不明点、疑問点があればそれぞれの担当者とのコミュニケーションが必要不可欠です。
与える印象が悪いとそれだけでも「この人とは仕事をしたくない」と思われてしまうことは十分にあります。
実際に、スキル以前に勤務態度が問題ですぐに契約終了になった人もいました。
それだけ、最初に与える印象は重要です。
自分が、話しやすい人、積極的に行動する人だと思われるのか。
反対に、あまりコミュニケーションを取らない人だと思われたり、人の話を聞かない人だと思われるかもしれません。
私はいつも、与える印象を「コミュニケーションがとりやすい人」ということを決めて参画しています。
自分がどんな印象を与えるか、決めているかいないかで、参画してからの行動が変わります。
また、意識して行動していなければ、相手にその印象は伝わりません。
新しいプロジェクトに参画する際には、自分が相手からどう見られるのか、考えてみることも大切な準備です。
すぐに打ち解けるコミュニケーション
プロジェクトに参画した時、メンバーと打ち解けられるかは重要な課題です。
というのも、最初はわからないことを質問する機会が多いからです。
プロジェクトのメンバーと関係性を築けている方が確実に作業の効率は良くなります。
そこで、プロジェクトの現場でメンバーと打ち解けるためのコミュニケーションを3つご紹介します。
1.笑顔で自分から挨拶
出勤時はいつも笑顔で挨拶することを、職場に着く前から意識します。
「そんなこと?」と思われるかもしれませんが、表情は人と関わる上で非常に重要です。
仕事以外でも言えることですが、自分が仕事をするならどんな人と一緒に仕事をしたいですか?
「いつも暗い表情で挨拶しない人」より「いつも笑顔で挨拶する人」の方がいいですよね。
自分がそう思うのだから、相手もそう思うはずです。
初対面の人と関わる時には特に意識して実践することが大切です。
いつもそうしていると、今まであまり挨拶をしてこなかった人でも、相手の方から挨拶をしてくれるようになることもあります。
経験上、意外と現場では笑顔で顔を見て挨拶するという人は少ないので、それを続けるだけでも、周りとコミュニケーション力の差がつきます。
2.最初に隣の席の人と会話する
新しいプロジェクトに参画した最初は、わからないことだらけで戸惑います。
わからないことをすぐに聞ける相手がいると心強いですよね。
会社員であれば、同じ会社のメンバーも一緒に参画しているかもしれませんが、1人で参画する可能性もありますし、フリーランスになると基本的に自分1人です。
その時に1番質問しやすいのが隣の席の人です。
そこで「最初は隣の席の人と話せるようにする」と決めるのが良いと思います。
出勤初日は自分から隣の席の人に話しかけるようにしてみましょう。
初めての職場だと、周りから話しかけられることを期待してしまいます。
ですが、自分から話しかけることで、翌日以降も会話するハードルが下がりますし、相手からも気にかけてもらえるようになるんです。
最初は勇気が必要ですが、初日にチャレンジすることとしてはオススメです。
3.業務外の雑談で相手のことを知る
メンバーと打ち解けようと思ったら、業務外の話を聞くことが大切です。
どれくらいこの仕事をしているのか、これまでどんな経験をしてきたのか。
相手がフリーランスの人であれば、なぜフリーランスになったのかなど経緯を聞いてみるのもいいかもしれません。
参画しているプロジェクトの作業内容についての話をすると、どうしてもビジネストークになってしまうため、雑談にはなりません。
打ち解けやすいのは、今の具体的な作業の話ではなく、話している相手のこれまでの現場経験など、その人自身に関わることです。
その中で、自分が共感できるポイントを探していきます。
同じ業界ですから、同じような経験をしていることも見つかるかもしれません。
共感ポイントがあればさらに話しやすい関係になれます。
もちろん、現場の全員とそうなる必要はないと思いますが、
まず、1人でも関係性を作ると現場での動きやすさは格段に変わってきます。
教えがいのある人になる
仕事をする上で、人に教えてもらうというのは絶対に発生する作業です。
自分の力だけで問題をすべて解決しようとするのは無理がありますし、時間もかかってしまいます。
そこで人の力を借りることで、一気に生産性を上げることができます。
実際に、自分で30分考えても答えが出なかったのに、人に聞いたら10秒で解決するということも現場ではあります。
ただ、教えてもらっている時間は相手は自分の作業を止めることになります。
教えてくれないということはないとは思いますが、できれば、雰囲気的に聞きづらかったり、質問しづらいということがない時間にしたいです。
そこで、相手にとって「この人には教えがいがある」「時間を割いても丁寧に教えよう」と思われる人になる必要があります。
そのためには、次の4つの聞き方で「しっかり聞いている」「理解している」を相手に伝えることです。
- メモをとりながら、相手の目を見て聞く
- うなずく、相槌を打つ
- 相手の言ったことを繰り返す
- 質問する
特に①②③は、普段から意識して実践しないと、意外にできていないことが多いです。
目を見て、うなずきながら聞くことで「しっかり聞いている」ということ、相手の教えてくれたことを繰り返して「私は理解しています」ということを伝えます。
もちろん理解できない時は、その場で素直に質問することも大切になります。
「わからない」という意思表示も相手にとっては知りたい情報です。
教える側にとって「ちゃんと聞いてるのかな?」「理解しているのかな?」という不安があると、教えることが負担になってきます。
教えてもらうことを当たり前と思わず、聞く時も積極的に聞くという姿勢になれれば、周りと差がつくと思います。
レビューを意識した成果物の作成
成果物を作成する際には、前提として2つのことを意識する必要があります。
- レビュー担当者は、何も知らない人
- 初めて見る人にはどう見えるか
成果物を作る際に「自分はわかっているから」と無意識に思ってしまうせいか、説明が不足してしまったり、省略してしまうことがあります。
完成してからも「これならわかりやすくて大丈夫」と思うかもしれませんが、実際にレビューをする人の立場で見たらどう見えるのかを考えて見直す作業というのは大切です。
なぜなら、レビュー担当者はその作業内容に詳しい人とは限らないので、自分で思っている以上に説明が伝わらないこともあります。
例えば、テスト結果をレビューしてもらう時に、テスト実施前の画面証跡とテスト実施後の結果画面だけが載せられていても、見る人にはその結果に至る過程がわからないのです。
実施している本人は操作方法と機能の仕様がわかっているため、結果までの作業手順を頭の中で考えながら作業をします。
でも、見る人には頭の中で考えている作業手順も説明しなければ「だからこういう結果になったんだ」という根拠が示せないのです。
私が会社員時代に、成果物を作成するにあたって、上司から言われたことがありました。
それは「全く知らない人が見た時に、誰にも聞かなくても理解できるように作ることが大事」ということです。
見ても理解できなければ作成者に質問することになります。それはプロジェクト全体で作業効率が下がります。
そうならないためにも、成果物を作成する時の意識は非常に重要なことです。
まとめ
自らの考え方・行動の仕方によって、職場は働きやすくも働きづらくもなります。これから現場就業される方はもちろん、既に現場就業している方々もぜひ試してみては如何でしょうか。