フリーランスエンジニアが常駐契約するためには、エージェントとの登録面談の後、クライアントとの面談が発生しますが、面談相手の立ち位置によってあり方も様々です。
面談回数も一回で済むケースと二回が必要なケースがありますし、中には何の案件がターゲットになっているのか定まっていない面談もあります。
フリーランスとしての経験が浅いエンジニアにとっては、それぞれの面談の目的・作法についてイメージがつかないケースもあるかと思いますので解説しましょう。
現場常駐案件の面談の種類・目的・作法
一般的にフリーランスが現場常駐する際に契約するのが準委任契約(SES契約)となり、常駐先のクライアントとの面談を行った上で契約が決まります。
ただし、クライアントの立ち位置によって面談の趣旨が異なったり、面談の回数が異なるケースが生じます。
面談の種類
フリーランスをはじめSESなどの常駐面談ではシーンによっていくつかの呼び方があります。それぞれの面談の目的を解説します。
一発面談、二回面談、事前面談
一発面談、二回面談、事前面談というのは、面談の回数や面談の主旨を示す言葉です。
一発面談というのは決裁権を持つクライアント(エンドユーザーもしくは元請けSIer)との面談で、この面談をパスすれば合格で入場手続きに入ります。
二回面談が行われる場合は、二次請け、三次請けSI会社との事前面談を行い、双方合意が取れた上で決裁権を持つクライアントとの面談に挑むという流れです。
事前面談というのは、エージェントがエンジニアに見あった案件を保有していない時に、協力会社にも営業をかけてもらいます。その際に協力会社がエンジニアの人物・スキル確認を行うために実施するものでこの面談によって案件が決まることはありません。
交代要員面談
エージェント会社の前任者やチームが何らかのトラブルを起こしてしまったり、想定外の都合で現場を退場せざるえない状況となった際に、その前任の交代要員としてアサインすることを目的とした面談です。
エージェント会社がトラブルを起こしてしまった状態での面談では、面談の空気も悪く(エージェントが謝罪するところからスタート)、また、面談後に合格が出たら契約は当たり前、やりたくない案件であっても、エンジニア自ら断る権利を持たせてもらえないような空気感で実施されます。
わかりやすく言えばトラブルの火消し要員としてアサインされることになります。
基本的には交代要員面談になる場合はエージェント側から事前説明が入るはずです。事前の説明をしっかり聞いた上で受けるかどうかの判断をしてください。
エージェント側はどうしても交代要員をアサインせざるえない状況で、エンジニアも火消し対応をするのですから、報酬を上げてもらうなどの交渉は優位に進められれますし進めるべきです。
なお、事前説明も無しに交代要員面談に連れていかれるケースも少なくありません。何も聞かされない状態で炎上案件に放り込まそうとしているようなものですから、当然断っても大丈夫です。
顧客顔合わせ
元請け面談にて既に合否が決定しており、最終的なエンドユーザーとの挨拶レベルで実施されるものです。その案件の説明は元請け面談時に実施されているものとなりますので、顧客顔合わせのタイミングでは参画することが前提の中で実施されます。(断ることができない)
その為、顔合わせのタイミングではまだ契約は済んでいないけど、並行して営業が行えないという状態に陥ります。
基本的には挨拶程度で終わるものですが、中には顔合わせなのにガチな面談に入るケースもあり、なぜかそこでNGを食らうケースもあります。私も長い期間営業をやっていますが数年に1度の頻度でそういったケースが発生します。
顧客顔合わせのみと言われた場合は、エージェントにその内容と営業を止めるリスクを確認した上で進めるようにしましょう。
個人的には優先順位を第一とはしつつも、並行で進んでいる案件があることを伝えつつも別の案件も同時に探すべきだと考えています。
万が一顧客顔合わせでコケてしまい、契約が途切れてしまったなどということになれば生活にも支障をきたし大変なことになってしまいます。
エージェントの立ち位置による面談のあり方
登録したエージェント会社の立ち位置によって、その先の面談のあり方が異なってきます。フリーランスの立場から見ると同じ面談でもどの立場として面談を受けるのかは理解しておくと良いです。
一般的な多くのエージェント会社の面談目的は「人だし」
フリーランスの多くは、エージェント会社に登録して案件を探してもらう形となります。エージェントから紹介していただける案件は、クライアントとの直案件もあれば、そうでない案件もありますが、実際のところ直案件を保有している割合は少ないため、二次請け、三次請けSI会社も含めて案件を探す形をとります。
※直請け案件を紹介してもらえないの?と感じられてしまうかもしれませんが、直接のクライアントを紹介してもらえたのであればラッキーだと思っておいた方が良いです。
さて、フリーランスエンジニアを広く募っているエージェント会社の目的は純粋なる「人出し業」であることが多いです。中にはSI業を目的としているエージェント会社もありますが、多くが人出し目的でしょう。
顧客とエージェント間、エージェントとフリーランス間で締結する準委任契約というあり方を意識して提案活動を行っているエージェントはほとんどなく、悪くいえば、派遣契約が出来ないがための逃げ道的な契約として準委任契約を行っています。
それはクライアント側も理解しているはずですし、フリーランスとして働く側も準委任契約を締結する上で理解しておいた方が良いです。
準委任契約というのは実施責任者と作業者の2名以上で契約する必要があり、個人事業主であるフリーランスは実施責任者と作業者が同じとなってしまう為、準委任契約は成り立たないのです。
また、多くの場合は一人現場となりますので、エージェント会社の実施責任者も置かず(おいても名目上)で、実際の指揮命令はクライアントから直接行われる働き方になります。
そのため面談目的のほとんどが、クライアントの現場担当者が、「単にそのエンジニアを使えるかどうかを判断するもの」となります。
SI会社の面談目的は自社プロジェクトを請ける為の「体制拡張」
一方仕事を請けているSI会社(二次請け、三次請け)と顧客の面談はそうではありません。そのSI会社の体制拡張・強化のためにエンジニアを顧客に提案します。
基本的にはそのエンジニア一人のパフォーマンスをみた上で、このプロジェクトを対応するためには、○月〜○は○人月必要だから、このポジションにこのメンバーを配置するといったイメージの提案です。
その先のクライアント側の判断基準としては、一人のエンジニアの能力としてではなく、このエンジニアをこのポジション配置することで、委託したSI会社のチームがスムーズにプロジェクトを進められるかどうかという判断で最終的な合否を出します。
その為、人出し業を行っているエージェントの人材提案とは異なり、体制提案のイメージが強くなります。
ちなみにSI会社がクライアントから仕事を請け負う際、純粋な請負契約を締結するケースと準委任契約を締結するケースがありますが、請負契約の場合はクライアントとの面談は基本行われず、SI会社の判断だけで合否が決まり、準委任契約をしている場合、最終的な判断をクライアントに仰ぐというイメージになります。
この差は、以下が分かりやすいかもしれません。
- 請負契約:先に契約金額が決まっている
- 準委任契約:人が増える減るで契約金額に変動がある
※請負契約ではなく準委任契約を行う理由は様々です。資金繰りの為であったり、仕様が定まらないのが仕様のようなプロジェクトで純粋に請け負うことが難しいものであったりする為です。
ブローカー的な中間会社との面談
もう一つ、案件に対して決裁権を持たないブローカー的な中間SI会社と面談を行うケースもあります。
これは登録したエージェント会社がエンジニアに紹介できる案件を見つけられず、パートナー会社と呼ばれるSI会社(エージェント会社)にも案件探しを手伝ってもらう際に、事前面談と称して人物確認を行うために実施されるものです。
SI会社の営業が、今後そのエンジニアを営業するために、人物面やスキル面を確認する主旨で行われるものなので、場合によっては予定案件がない状態のまま面談が行われるケースも少なくありません。
理想はクライアント直か請負っているSI会社の体制内に配属される為の面談
いくつかの面談パターンをお話しましたが、エンジニアとしての理想はクライアントとの直接案件か、自社体制を持って仕事を請負っているSI会社との面談でしょう。
そのような案件にタイミングよく巡り合えれば良いのですが、実際のところはそうも行かずに、最後のブローカー業を行っている会社を頼ってしまうケースも多くあります。
私はSI会社立ち位置にいますが、「直請けがメイン」と大々的にPRされている大手エージェント会社が三次商流・四次商流にいることも少なくありません。
特に経験の少ない若手エンジニアや、スキルの低いエンジニアの場合は案件を見つけづらい為、ブローカーなども頼りつつ参画できる現場を探さざるをえません。
対策としてはエンジニアとしての実力をつけて、自分自身が案件を選べる立場になること、複数のエージェントには登録し、同時営業をかけてもらい紹介してもらえる案件の幅を広げることが対策です。