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実践!Excelでも出来る、物理構成図と論理構成図の描き方(インフラエンジニア向け)

今や「引く手数多」と言われるインフラエンジニアですが、サーバサイドのエンジニアにしても、システム全体の構成を把握するうえで、構成図の存在は欠かせません。
ましてや、現場に赴いて、環境が整った矢先に「構成図を作って」と依頼されることもしばしば。
構成図の作成といえば、IllustratorやMicrosoft Visioなどが有名処ですが、ネットワーク機器やサーバ機器を取り扱ってきたインフラエンジニアに、そんな絵画スキルがある方が珍しいです。
そこで今回は、Excelでも出来る「顧客に出しても恥ずかしくない」構成図の作成方法を解説いたします。

目次

Excelの構成図って?意外にも美しい、バランスのとれた構成

百聞は一見に如かず。Excelにて構成される構成図は、下記のような描写が可能です。

構成図の各要素と配置は、主役である「機器」オブジェクトと、それらを繋ぐ「線」オブジェクトから成り立ちます。
概ねの機器を並べたあとは、結線ポートもさることながら、HAやStack、その役割などの、重要な要素を、柔軟に書き加えることが可能です。
また、Visioよりも優れた点といえば「文字調整や印刷領域、拡大縮小など、印刷可能な領域の調整がたやすいこと」。
これで、プロジェクト開始直後のチーム内レビューから、システム完成後のシステム仕様書に至るまで、幅広い応用が可能です。

実際に作ってみよう:まずは、Excelの基本設定

Excelベースの構成図の作成は、Excelの基本設定から始まります。
シートに基本的な調整を行う必要があり、これの良し悪しによって、構成図の見やすさから修正のしやすさまでが変わってきます。

①「Excel構成図」基本ツールを手元に置く

基本設定には、「グリッドに合わせる」「オブジェクトの選択」の、二つのツールを、クイックアクセスツールバーに出しておく必要があります。

クイックアクセスツールバーを表示させるには、メニュー[ファイル]からオプションを選択し、[クイックアクセスツールバー]のカスタマイズを行います。

1).「グリッドに合わせる」ツールを出す
コマンドの選択:[ページレイアウト]タブより選択することが可能です。

2).「オブジェクトの選択」ツールを出す
コマンドの選択:「ホーム」タブより選択することが可能です。

以上はExcel2016での方法ですが、Excel2010や2013においても、同様のカスタムが可能です。

実際に作ってみよう:ポリシーを守って、バランスの取れた構成を作ろう

「バランスとれた構成」として目標にするべきは、
「各機器やエリアの配置が、1面に対してバランスよく配置されていること」
「結線同士がなるべく交差することなく、オブジェクト位置や大きさも、なるべく合わせること」
この2点を注意する必要があります。これをポリシーとして考え、図面を作成していきましょう。

①Excelシートを方眼紙にする

前述の「グリッドに合わせる」ツールとかけあわせることで「一糸乱れぬ」オブジェクトの配置が可能です。
例えば、Excelシートを全選択([Ctrl + A])し、縦横セルを20pxとしてみましょう。

こうしておくことで、「グリッドに合わせる」ツールを利用時は、機器オブジェクトのサイズ調整や、位置調整などが、グリッドに沿って、自動調整されるというわけです。

②[セル]フォントや[オブジェクト]フォントのフォーマットを合わせる

セルのフォントはメイリオ(カタカナ):10Px、オブジェクトのフォントはメイリオ(カタカナ):8Pxあたりがお勧めです。
メイリオ(カタカナ)は、Meiryo UIと比べて「印刷時に、下手な改行をする確率が少ない」こと、そして何と言っても、文字の美しさが際立つフォントです。
人へ見せる構成図ですから、これを使わない手はありません。

③機器オブジェクトは、縦横並べて、なるべく均等に配置する

機器オブジェクト同士は、配置フロア>同等及び関連機器同士、という優先順位同士で並べてあげたほうが、きれいにまとまります。
そして、人間工学的に、非常にわかりやすくなります。
機器構成の矛盾点や問題点、気を付けるべきことは、「整備された構成図」でこそ、気が付くことができることを、覚えておきましょう。

例えば「上記図の結線は正しいもの?」「HAとLAG(Linkaggrigation)の設計は問題ない?」「一つのスイッチやHUBに、何本のケーブルをぶら下げる必要があるだろうか?」「ループ構成にしていない?(Stackされているか)」などです。
分かりやすい構成図を作成するということは、システム構成について、詳しくなるカギにもなります。

その他、細々としたテクニックはありますが、大まかなオブジェクト作成方法は以上となります。

実際に作ってみよう:物理構成図と論理構成図の違いと、その分け方

今までは、物理構成図を作成していきましたが、こちらをもとに論理構成図を作成していきます。
昔は「凡そオーソドックスなやり方」として、別紙に「VLAN情報等をちりばめた、新しい構成図」を作成していましたが、その方法は「非常に非効率」であるため、ここでは取り上げません(むしろ今時、物理/論理構成図が別フォーマットというのは、官公庁案件でも、歓迎されません)。

①物理構成図と論理構成図の違いを吟味する

物理と論理の違いは「レイヤー1以下が物理」「レイヤー2以上が論理」とされていますが、具体的には下記の違いがあります。

物理構成図とは
・機器の種別(ルータ/スイッチ/サーバ/クライアント)が記載されていること
・結線されたポート番号が記載されていること
・ケーブルの種別(光ケーブル/LANケーブル等)が記載されていること

論理構成図とは
・VLANの情報が明示されていること
・セグメント領域や機器が持つIPアドレスが明示されていること
・冗長化プロトコル(LinkaggrigationやVRRP、OSFPなど)が明示されていること

多少、ネットワークをかじった人でないと、上記は分かりづらいかもしれません。
本当にざっくり言ってしまうと、「目に見える、機器を眺めてわかるものが物理」「目に見えない、機器設定などが論理」と覚えておくとよいかもしれません。

②物理構成図をもとに、論理構成図を作成する

論理構成図を作成するには「既存の機器設定やConfig等を逐一確認していく」「想定される設定や論理構成を追記していく」の何れかになるかと思います。
予め用意しておいた物理構成図をもとに、論理構成図を作成すると「書き加えていくだけ」で済んでしまうため、その作業がかなり安直になります。

下記、少し大雑把な図ですが、セグメント情報、ネットワークに関与するVLAN、IPアドレス情報を書き加えました。

完成には、サーバIPなどを調整する必要がありますが、これが論理構成図として成り立ちます。

今回の構成図例は、位置関係からポートを添削してしまいましたが、図面に余裕があれば、ポート情報などを残しておくのも便利でしょう。

インフラ周りの設計現場で「良い仕事をしたい」のであれば、システム構成全体を把握する必要があります。
しかし、システム構成全体を覚えるのは容易ではないため、こうやって構成図をおこし「すべての設計の基礎」とするのです。

チーム内でレビューされ、客先でもレビューされた構成図は、プロジェクトにおける「正確な地図」と言っても過言ではありません。
構成図作成をマスターすると、あらゆる場面で、様々な活躍ができるかもしれませんね。

筆者プロフィール

中村京介(36歳)
ネットワークエンジニア6年目、座右の銘は「拝承!」。
零細企業の「ひとり情シス」から一念発起し、ネットワーク系エンジニアを目指す。
初回教育で鬼教官にしごかれ、赴任したとある技師の元で修業を積み、ようやく一人前に。
脱落者の多い官公庁系案件を主に手掛けながら、設計・構築兼、SIerとして前線に立つ。

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この記事を書いた人

管理人のよしぞと申します。
フリーランス業界で働いている管理人が、業界で働く様々な視点からフリーランスエンジニアに挑戦するためのノウハウを掲載。独立を考えている方にとって手助けになるサイトを目指しています。

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