在宅のフリーランスエンジニアになりたいけど、実際のワークフローはどんな感じなんだろうと思っている方もいるかもしれません。
そこで、この記事では、在宅のフリーランスエンジニアの筆者が(在宅と言っても、シェアオフィスを使ったり、カフェで仕事したりすることはあります。出社せずに、という意味です)、在宅のフリーランスエンジニアのワークフローを解説します。
実際の仕事の進め方が分かると思います。参考にしてみてください。
在宅フリーランスエンジニアの就業形態
在宅フリーランスエンジニアの就業形態は、エージェントを通した契約と、クライアントとの直接契約の二種類に分かれます。それぞれについて解説します。
エージェントを介した契約
いきなりフリーランスエンジニアになっても、たいていのエンジニアは、お客様と個人で取引していたわけではないので、お客様となってくれる人に頼りがありません。
フリーランスエンジニアは店を構えるわけでもないですし、自分で営業する必要があります。けれども、どこからすればいいのか、となります。
そんなとき、フリーランスエンジニアとクライアントの仲立ちをするエージェントを利用するのがいいでしょう。
エージェントはあなたをクライアントに宣伝し、会社によってはクライアントとのやり取りを代行してくれて、あなたは営業活動を行うことなく、開発だけに集中できます。その代わり、クライアントからの報酬の何割かはエージェントに配分する決まりになっています。
正確な統計はありませんが、フリーランスエンジニアはエージェントを通して仕事をする人が多いようです。
メリットは、本業以外のことに時間を取られることがなく、大きな案件に参画できることです。トラブルを招きやすい単価交渉などもエージェントに任せてしまえます。
直接契約
一方、エージェントを介さず、自分でクライアントと直接契約を結ぶフリーランスエンジニアも存在します。筆者はこちらです。
メリットは自分のペースで仕事出来ることです。そしてもう一つ、開発の後の保守を自分で契約し、そのシステムが稼働している間は半永久的に保守費用が入って来るというメリットもあります。後者については、エージェントを介していると難しい場合もあります。
デメリットは本業以外のことに時間を取られることです。営業活動、単価交渉。意外と時間と労力がかかります。エージェントを介した契約に比べて、仕事のない期間も長いかもしれません。特に大きなプロジェクトが終わった後は、筆者の友人のエンジニアは、2ヶ月くらい期間が空く、と言っていました。だから月々決まった報酬が得られるわけではありませんが、誰にも報酬を配分する必要がないのはメリットでしょう(クラウドソーシングの場合運営会社に報酬の一部を天引きされますが)。
契約の種類
エージェントを介した契約、直接契約とも、契約には二種類あります。それぞれ解説します。
業務委託契約
こちらは労働時間で報酬が決まる正社員に近いです。何時間働くからいくら、と契約するものです。
請負契約
こちらは出来高で契約を結ぶものです。この成果物でいくら、と契約します。
業務委託契約の場合、時間に拘束されます。そして、実質的にフリーランスのメリットがなくなる、という人もいます。
請負契約は、早く作ればその分時間は自由になりますが、自分で見積もる場合、見積もりを間違うと長時間労働になる危険もはらんでいます。
どちらが良いとは言えません。業務の質、自分のスキル(特に自分のスキルを正しく自己認識していることは重要です)に応じて選択しましょう。
新規顧客の獲得方法
筆者の場合、だいたいがリピーターのクライアントです。
仕事がなくなってきたら、新規顧客をクラウドソーシングやクライアント仲介サイトで獲得します。
知り合いから仕事を頼まれることもあります。
クラウドソーシングでは、クライアントの思惑の上を行く提案をするように心がけています。独立したころに比べると、だいぶ提案力がついてきたなと自負しています。まあ、価格設定を高めにするのでいつも契約が取れるわけではありませんが、安い仕事はしたくないので自分では納得しています。そして、高いのには理由があると分かってくださるお客様の方が後々付き合いやすいです。
知り合いから仕事を頼まれることが増えるように、意図的に人脈は広げています。かと言って、ひところ流行った異業種交流会のようなものに出かけるのではありません。日常の生活に、人と出会うことを組み込んでいます。新しい人との出会いは、常に何らかの収穫をもたらすのでそれだけでいいのですが、時に仕事につながることがあります。例えば先日は、近所に新規開店する飲食店の開店記念の割引券のデザインを仲介して、手数料をいただきました。これだって立派な仕事です。
契約から納品まで
筆者は、契約書はここ2年取り交わしていません。
契約は、文章の形で文言が残っていれば証拠となります。メールでもLINEでも証拠です。最近はわざわざ契約書を作るクライアントは少なくなってきました。公的機関への申請に必要とかでもない限り、滅多に契約書は取り交わしません。その代わり、電話で話したことは文書にして相手にも送って了解をとっておきます。電話は証拠になりませんから。
そしてかつてのような、ウォータフォール型の開発も少なくなってきました。筆者はほぼすべてアジャイル型です。コア部分を作り、スモールアップしながら完成へと近づけます。また最近の開発環境やフレームワーク、プログラミング言語はアジャイル型開発に適したものばかりです。その特性を活かした開発スタイルを心がけています。
クライアントとのコミュニケーションはメッセージアプリ(チャットワーク、Slack、Skypeなど)が主です。電話することはほぼなくなりました。
納品したら検収を待ちます。ここは昔から変わっていません。検収に合格したら完成です。
総じて、筆者はレスポンスを早くするように心がけています。顧客満足度が高まるのが分かっているからです。
完成品も重要ですが、開発プロセスが不快だったエンジニアに対して、クライアントは二度と発注しません。
逆も言えます。いくら単価が高かろうと、一方的に偉そうな顔をするクライアントとは二度と仕事をしません。
今の時代、クライアントもエンジニアも双方とも、互いの満足度を高めないと仕事が進まない、ということが分かっている場合がほとんどです。10年前に比べると、無茶な要求をされることは格段に減りました。
開発案件以外の案件
さて、この文章を書いていることからも分かる通り、筆者は開発以外にライティングをしています。技術系ではない文章を書くこともあります。開発が終わってから、とか、クライアントの連絡を待つ間とかに書いています。
コンサルティングもやっています。短時間で高単価なので効率のいい副業です。月に1件ほどこなします。
そして開発ではない技術系の仕事は、サーバーの保守作業です。やるときにはやらなければなりませんが、でも月々固定されて報酬を頂ける保守作業は、報酬がない月の生活を助けてくれます。保守作業があるというのはフリーランスエンジニアの特権かもしれませんね。
まとめ
この記事では在宅フリーランスエンジニアのワークフローについて書いてきました。
いかがでしょうか。イメージしていただけたでしょうか。
あなたが会社員なら、もしかしたら身近には在宅フリーランスエンジニアのロールモデルがいないかもしれません。
しかし例えば、勉強会などに参加すれば、そこには必ず在宅フリーランスエンジニアがいるはずです。
在宅フリーランスエンジニアのワークフローを知るには、会社以外の付き合いを広げるところから始めてみましょう。