在宅のフリーランスエンジニアにもデメリットはあります。
この記事では、在宅のフリーランスエンジニアである筆者の体験に基づいて、デメリットを7つ紹介します。
見積もりで失敗できない
最大のデメリットはこれでしょうか。
プロジェクトマネージャークラスにならないと、エンジニアには見積もりをする機会がありません。筆者もフリーランスエンジニアとして独立した当時、見積もりをした経験はありませんでした。
その状態で見積もりして、仮に納期を大幅にオーバーしても、オーバーした分については報酬が払われないのが普通です。
ソフトウェア開発の見積もりは難しいです。
建築物解体業の会社を経営している知人の言葉を紹介します。
「解体はやることが決まっていて、職人によってプロセスや結果に差は出ない。ところがソフトウェア開発は、その人によってプロセスや結果に大きな差が出る。生産性も違う。だから解体は一棟いくらと簡単に見積もりできるけど、ぼくにはソフトウェア開発の見積もりはできない。人を見積もるのは難しすぎる」
この言葉に、ソフトウェア開発の見積もりの難しさが表現されています。
属人的な要素を見積もるには、その人を正しく把握していなければなりません(在宅フリーランスエンジニアの場合は自分自身)。
更に解体業と違うのは、ソフトウェア開発は毎回毎回ほぼ確実に研究要素が入って来るという点です。見知った技術ばかりで開発できる案件は、筆者の経験では皆無です。
そうなると、使う技術でいったいどれくらいの工数がかかるのか、事前には全く分かりません。
だから、ソフトウェア開発の見積もりは難しいのです。
会社であれば納期を超過しても給料は払われます。しかしフリーランスエンジニアは、納期を超過したら無給です。
気づいたらすごく低い単価になってしまっていた、ということが注意しないと起こり得ます。
見積もりでは失敗できません。自分のスキルを正しく把握し見積もりましょう。
仕事しない期間が発生する
どうしても仕事しない期間が発生します。案件と案件の狭間です。そうそう連続して案件が入ることはありません。
会社員であれば仕事が暇になっても給料は発生しますが、フリーランスが仕事が暇になったら報酬は発生しません。あくまでも報酬は実際に仕事した分への対価です(それだって、先述したように見積もりを失敗したら対価が払われることすらなくなります)。
逆に言うと、わざと仕事しない期間を作ることができるということでもあるのですが、なかなか自分の都合では仕事の期間が決められないことが多いです。クライアントあってのフリーランスですので。だから、仕事しない期間は発生します。
営業活動が必要
技術的な事柄だけを業務としてやっていたい人には、これはデメリットでしょう。
自分に仕事をアサインするのは自分です。営業活動をしなければ、そもそも仕事がありません。
もっとも、営業活動と言っても、人と会うとか、自分から営業トークをするなんてことはなくなりました。
筆者は仲介サイトを使い、応募し、メッセージをやり取りし、時にはビデオ電話で話し、案件を獲得します。
でも、応募にはそれなりに労力を使います。また、応募してから決まるまで焦らされるというデメリットもあります。
在宅フリーランスエンジニアは技術的な事柄だけをやっていればいいのではないのです。
情報が入ってこない
在宅フリーランスエンジニアにはエンジニアの仲間がいません。意図的に他のエンジニアと付き合わないと、最新の技術情報が入ってこないことになります。ネットの記事では報じられないような、最近の傾向、なんていうのも大局を見るうえでは重要です。
友人のフリーランスエンジニアはPythonが人気の言語だということを知らず、先日ネットの記事で今Pythonの学習人気があらゆるプログラミング言語のなかで一番だということを知り、慌ててPythonを勉強し始めました。
かなり焦っていました。自分の得意とする言語では仕事が将来的になくなるんじゃないか、と言っていました。このような事態は、他のエンジニアと付き合っていれば防げた事態です。
技術的な事柄に限らずとも、日常的に人と話す機会はどうしても減るので、今の世の中で何がトレンドなのかともすると分からなくなります。
社会人として、社会の状況は押さえておきたいところです。
気分転換ができない
ずっと家にいると、気分転換が上手にできません。
筆者は一日一度は外に出ます。できれば他人と話します。でないと、モチベーションが保てません。
承認欲求がさほど高くない人は誰とも話さなくても大丈夫でしょうが、大方の人は、一日中誰とも話さない日が続くとだんだんモチベーションが下がっていくものです。本来のモチベーションが保てない状態では、いい仕事ができませんよね。
このように、在宅フリーランスエンジニアにとって気分転換はとても大切です。
自己管理が大変
仕事を始めるのも終わらせるのも自分です。だらだらと過ごし、ようやく仕事に手を付け、だらだらと仕事していたのでは、仕事の時間が不規則に、長くなってしまいます。
自分を厳しく律しましょう。自分のマネージャーは自分しかいないのです。人目がない分難しいと感じる人もいるかもしれません。しかしそれでも自分を律さないと、仕事そのものが成り立ちません。
メリハリがない
ずっと家で仕事しているので、ともするとメリハリがなくなりがちです。
今はスマホに24時間通知が来るので、完全なるオフの時間がなかなか作れません。
筆者は先日、旅行先で訪れた水族館でいきなり仕事の電話が来て、かなり興ざめしました。
しかし、そんなことはよくあることです。
これに耐えなければ、在宅フリーランスエンジニアは務まりません。
まとめ
この記事では、在宅のフリーランスエンジニアのデメリットを紹介しました。
このデメリットを克服できる人が在宅フリーランスエンジニアとして活躍できます。自分を管理できて、生活を崩さずにいることができる、そういう人です。
高度なマネジメントスキルと生活スキルが求められます。
しかし逆に言えば、それができる人にとっては縛られない自由な生き方を実践するチャンスがあるということです。
20年前に比べると、在宅フリーランスエンジニアとして働く社会的環境や技術的環境は格段に整いました。
筆者は、今回の新型コロナ後の「新しい生活様式」も、在宅フリーランスエンジニアが仕事を受注する上でプラスに働くのでは、と睨んでいます。企業はますますフリーランスエンジニアの活用へと傾斜する気がするのです。
新しい時代に対応していきましょう。