新卒の就職活動の時は「高卒か大卒か」「国立大かFランか」「理系か文系か」など、学歴で就職活動の難易度が変わってきます。では、転職活動や中途採用はどうでしょうか?
実は、転職活動市場においては学歴を重視する企業はそれほど多くありません。
一方が国立大学卒業、もう一方が偏差値40台の大学卒業でも、経験や実力が勝れば「偏差値40台の大学を出た人」が採用されるケースが多々あります。
この記事では、IT業界で1日平均5人の面接や面談を行ってきた私が、転職市場のリアルをお届けします。
- 中途採用で高学歴がマイナスになったエピソード
- IT業界の転職活動で重視されるスペック
- 年収アップが狙える転職先の探し方
などを紹介していきますので、転職活動を成功させたい人はぜひ読んでみてくださいね。
就活では重視された学歴!でも中途採用では関係ないって本当?
まずは転職活動では学歴がどのように関係するかを見ていきましょう。
高学歴で新卒の時は苦労しなかった人でも、初めての転職活動ではつまずくことが多々あります。
逆に学歴にコンプレックスがある人でも、転職活動では実力を見て貰えることが多いので、より条件の良い企業に転職できることも珍しくないんですよ。
働いた経験がない高学歴男性が高収入を狙った結果・・・
少し極端な例かもしれませんが、私が面接を担当した人にこんな方がいました。
- 30歳男性
- 国立大、同大院卒
- 理系でプログラミングの知識も多少ある
ここまでの条件だと、彼を採用したいと思うIT企業はかなり多いでしょう。しかし、彼は「大学院を卒業して5年間、働いていない」との事で、履歴書が真っ白でした。なぜ就職していないのかを聞くと「ずっと就職活動をしているのですが、なぜか受からないんです」と。
高学歴でプログラミングの知識もある彼が受からなかった理由は、おそらく「希望年収が高すぎる」事でした。希望年収を聞くと「最低500万円、できれば800万円頂きたい」と仰いました。
厳しい事ですが、即戦力が求められる転職市場では年収500万円や800万円の社員をイチから育てる余裕がある企業はほぼありません。私の会社でも、残念ながらご縁がありませんでした。
ITエンジニアの転職市場ではあまり学歴は重視されない
私が営業として働いていたIT業界では「高卒以上で職歴に問題なければ面接する」という企業が多かったです。若ければIT業界未経験でもOKで、短期間で転職を繰り返していなければ職歴も問題ないとみなされます。
高学歴だと新卒の時に大企業やSIerに就職しやすい=経験値も積みやすいので、結果的に高学歴の方が採用されるケースはありますが、基本的にはスキルや人間性が重視されます。
大手企業で正社員を狙う時に限り、大卒以上が少し有利に
もちろん、高学歴が有利になる事もあります。元国営企業や大手メーカー、財閥系など
「社内で学歴社会がある」企業は、国立大学卒業などの高学歴の人のほうが面接に至りやすいです。
それ以外の企業なら、ITエンジニアで学歴が重視される事はほぼありません。新卒の就職活動でなかなか面接に至らなかった人も「現場経験やスキルがしっかり積めていれば」どんどん面接に呼ばれることも珍しくないんですよ。
ITエンジニアで重視されるスペック5つ!当てはまれば採用されやすいかも
学歴がそこまで重要視されないITエンジニアですが、どんなプロフィールだと採用されやすいのでしょうか?
実際に面接官の私や就業先からの評価が高かった方の履歴書を分析してみたところ
- 現場経験
- コミュニケーションスキル
- エンジニアとしてのスキル
- 仕事への姿勢(意欲・柔軟性)
- 年齢が高ければ、年齢に見合ったスキル
という項目が重視される傾向にありました。それぞれ詳しく解説していきますね。
①現場経験
ITエンジニアは経済産業省が「人材の供給不足」としている職種の一つです。経済産業省の試算によると
IT 人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は、需要が供給を上回り、2030 年には、最大で約 79 万人に拡大する可能性があると試算されている。
参考:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
という結果も報告されています。
端的に言うと「かなり人手不足」のITエンジニアは、現場経験があってある程度一人で作業できる人材が好ましいです。現場経験が1年もあれば、転職先は求職者が選べることが多いでしょう。
未経験でITエンジニアを目指している人でも、1~2案件の経験を積めばスキルアップのための転職も夢ではありません。
②コミュニケーションスキル
ITエンジニアとして未経験であっても、開発現場にうまく溶け込めるコミュニケーションスキルがある人は重宝されます。というのも、ITスキルがあっても開発するシステムが変わるとスキルが全く役に立たない事もあるからです。
面接時はITスキルが高くなくても、細かく確認を取りながら仕事を進めたり、ミスをしてもすぐに報告したりといったコミュニケーション能力があれば採用の土台に乗ります。周囲のサポートさえあれば「成長できる可能性が高い」と評価されるんですよ。
③プログラミング、インフラ構築などITスキル
現場経験、コミュニケーションスキルに次いで重要視されるのが「ITスキル」です。
逆に言うと、プログラミングスクールなどで問題なくプログラミングができる人でも、現場経験がない人より採用されにくいのが現実です。
④新しい事への意欲や柔軟性
IT技術は目まぐるしく変化するので、10年経つとプログラム言語やインフラの仕様も全く別物になる事が少なくありません。日々進化するIT技術に柔軟に対応できるか、また新しい知識を常に吸収できるかというのもITエンジニアに必要なスキルです。
履歴書や面接でアピールするなら「プログラマーですがインフラの勉強もしています」「組み込み(C言語)の技術者ですが、ソフトウェア(Java)を自分でも開発しています」などが好印象ですね。
⑤年齢
システムの開発現場で一番多い年代は30代だと言われていて、PMやPLが30代の事も珍しくありません。リーダーにとっては50代60代など年齢が高すぎる部下は扱いにくいので、現場への参画が難しくなってきます。
未経験なら20代半ば~30代前半くらいまでなら転職が成功しやすいです。それ以上の年齢でも未経験で転職できない事はないですが、新卒同様の年収からのスタートも覚悟したほうが良いでしょう。
ITエンジニアの転職で年収アップさせるコツ
すでにITエンジニアで経験もスキルも十分あるという方は、以下のポイントを押さえると転職で年収アップできる可能性が高まります。
・外資系SIerや大手SIerを狙う
・大手企業の社内SEを狙う
・社内SEなら金融・保険系が高収入
・受託案件をメインに扱う企業は避ける
もちろん年齢も1日でも若い方が良いので、まだまだ転職するつもりはなくても「転職エージェント」に登録して情報収集してみてください。
【参考】転職活動は在職中がベスト!転職するつもりが無くても求人情報を見るメリット
ITエンジニアは学歴不問、現場経験を積めば引っ張りだこに!
ITエンジニアと学歴の関係について解説しましたが、新卒の就職活動が終わればあまり学歴は重視されなくなります。
ITエンジニアとして一番重要なのが現場経験。一人で作業がこなせる、仕様書が書ける、マネジメント経験がある、など順調にITエンジニアの経験が積めれば転職で年収が大幅アップする可能性もどんどん高まります。
少なくとも向こう10年は人手不足が続くIT業界なので、未経験の人も今飛び込んでおくと将来役立つかもしれませんね。