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エンジニアがスタートアップやベンチャー企業に転職するメリット・デメリットと転職活動のポイントとは?

エンジニアの転職先には、スタートアップ企業やベンチャー企業という選択肢もあります。

スタートアップは、イノベーションを起こすことで短期間で圧倒的な成長率を得る事業を行う企業です。革新的なビジネスモデルや、それによって解決できる社会的課題の大きさ、Exit戦略があるかどうかなどが基準となっています。

ベンチャー企業は新進気鋭の企業や、スモールビジネスを行う企業、社員数が少ない企業、隙間産業や新しい産業を行う企業などを総合的に指す名前です。

今回は、そのようなスタートアップやベンチャーにエンジニアが転職するメリット・デメリットと、転職する際に気をつけるべきポイントを紹介しましょう。

目次

エンジニアがスタートアップ・ベンチャーに転職するメリット

エンジニアのスタートアップやベンチャーへの転職には、いくつかのメリットがあります。それらのメリットは、他の企業では得られない独自のものです。まずはそんなスタートアップやベンチャーに転職するメリットを、4つ紹介します。

幅広いスキルが得られる

IT業界は、職域で担当を分けるのが基本です。エンジニアと言っても、サイバーエンド、フロントエンド、インフラなど各担当がいますよね。会社が大きくなればなるほど、分業体制は細かくなっていきます。それぞれの担当の中で、さらに細かく分けられた作業を担当するというケースも多いです。

当然、分業が細かくなればなるほど仕事で得られるスキルは限定的になっていきます。

一方スタートアップやベンチャーは、細かく分業している余裕がありません。少ない人員で事業を行っていくため、エンジニアはほぼ全ての分野を担当することになります。必然的に、仕事で得られるスキルも幅広くなるんです。

ただし、その分転職時に求められるスキルも幅広くなりがちなので注意しましょう。

技術選定の段階から携われる

はじめてIT業界に就職した際、使うツールや言語は入社時にすでに決まっているケースが多いでしょう。会社が求める技術を習得し、それを使って実務を行っていくという流れが基本です。

ただ、スタートアップはエンジニアを揃えた後に、さまざまな機能開発を進めるという流れになる傾向があります。機能ごとに用いる言語やツールを変えることもあり、エンジニアが都度「どのような言語やツールを使うのか」を選ぶことになる可能性が高いです。

そのため、嫌いなツールを避けることもできます。

また、事業の初めの方から関わることによる達成感や面白さも感じられるでしょう。

企画立案から携われる場合もある

サービス開発におけるエンジニアの果たす役割は大きいです。スタートアップやベンチャーの場合、エンジニアは少人数が基本となります。企画に専属的に携わる人材も、いないケースがほとんどです。

たいていのスタートアップやベンチャーでは、企画立案の際、エンジニアの手を借ります。エンジニアが企画の案を出したり、ブラッシュアップさせたりして案を固めていくんです。

アイデアなども自分で出してみたいという人には、大きなメリットだと言えるのではないでしょうか。

会社を創っていくという独特な面白さがある

スタートアップやベンチャーは、言ってしまえば未完成の会社であることがほとんどです。大企業は完成された会社だと言えるでしょうね。

サービスの企画立案から携わったりして、時には開発以外の仕事も請け負うことになります。サービスの開発から成長までを、より身近に感じることができるんです。それにより、新しく発見できる知見もあるでしょう。それが、今後のキャリアパスを大きく左右することもあります。

さらに、まだまだ発展途上のスタートアップやベンチャーで働くことで、サービスだけでなく会社を創り上げていくという独特な面白みも感じることができるでしょう。

自分の仕事が会社の成長率に直結しているという感覚があり、それはやりがい自信に繋がりますよ。

エンジニアがスタートアップ・ベンチャーに転職するデメリット

スタートアップやベンチャーにエンジニアが転職するメリットを4つ語りましたが、もちろんデメリットもあります。デメリットもそれぞれ大きいため、メリットと照らし合わせてじっくりと検討しましょう。

激務になる可能性が高い

スタートアップやベンチャーは、激務になる可能性が高いです。多くの企業は就業規則も未整備で、残業削減の策やサポート制度などもありません。一方で、仕事は山のようにあります。残業は当たり前のようにありますし、働いても働いても仕事はエンドレスに積まれていくんです。

ただ、その企業での仕事が好きな人が多く、激務を激務と感じていない傾向もあります。立ち上げメンバーは当然、自分たちがやりたいと思うことを事業にしていますからね。後から来て定着していく人も、その仕事にやりがいを感じています。

激務ならやめておこうかな、と思った人はそもそもスタートアップやベンチャーに向いていないのかもしれません。

福利厚生などの制度が手薄

これは大手などと比べて、という話にはなりますが、福利厚生などの各種制度は手薄です。大手企業に当たり前にあるような制度は、あまりありません。会社によっては、福利厚生自体皆無ということもあります。

ただ、近年は働き方改革の影響などもあるのか、福利厚生で同業他社との差別化を図るスタートアップやベンチャーも多いです。

そのためか、大手企業にあるような福利厚生は無くとも、逆に大手ではありえないようなユニークな制度が用意されているケースも少なくありません。

一風変わった制度に魅力を感じるかどうかも、エンジニアがスタートアップやベンチャーを転職先に選ぶときの基準になるでしょう。

安定性は無い

スタートアップには安定性が無いというイメージを持っている人は、多いでしょう。

正確には、「まだ安定性が確保されていない会社が多い」ということです。スタートアップは、短期間でイノベーションを起こして急成長を狙います。爆発的に伸びた後は、安定性の確保に回る事が多いです。

ただ、不発だった場合は次のサービスを起こすことになります。安定性が確保されるまでの道のりは、案外遠いです。

ベンチャーも浮き沈みが激しい傾向があります。

会社に安定性を求める人は、合わないかもしれませんね。

開発作業に専念するのは難しい

エンジニアがスタートアップやベンチャーに転職するメリットとして、企画立案など幅広い業務に携わることができるということを挙げました。これは、裏を返せば開発業務に専念できない傾向があるというデメリットでもあります。

社員数が少ないので、分業を徹底するのが難しいです。営業担当、会計担当、企画担当、開発担当と細かく分けることが困難であるため、エンジニアでありながら企画や営業などを行わないといけなくなることもあります。

幅広い業務経験が得られるというメリットでもあるものの、開発だけに専念したいという人にとっては大きなデメリットです。

転職後は年収が下がる可能性が高い

スタートアップは特にそうですが、転職後は年収が下がる可能性が高いです。スタートアップやベンチャーの多くは、基本的に常に資金不足となっています。たとえ有名であったとしても、実際は借金経営というケースが多いです。

IT企業ではありませんが、ベンチャーの資金不足の例をひとつ紹介しましょう。

例えばTwitterなどから話題になり、日本中に悪役を派遣し『ドゲンジャーズ』という特撮ドラマまで手掛けている株式会社悪の秘密結社というベンチャーがあります。国内唯一と言って良いビジネスモデルで引っ張りだこであるものの、借金経営です。

資金力があまり無いので、人件費もあまりかけることができません。

そのため、スタートアップやベンチャーに転職後は年収が下がるのが一般的です。

その後、エンジニアとして携わったサービスが成長して業績も上がれば、年収も跳ね上がる可能性はあります。

ただ、安定性はありません。スタートアップやベンチャーへの転職は、エンジニアにとって投資のようなものです。

エンジニアがスタートアップ・ベンチャーに転職するときのポイント

ここまでメリットとデメリットとを照らし合わせ、スタートアップやベンチャーへの転職を考えてみたいと思ったエンジニアもいるでしょう。そこで、エンジニアがスタートアップやベンチャーに転職する際のポイントを紹介します。

大事なのは理念やサービスへの共感

スタートアップやベンチャーに転職するとき、大事なのは理念やサービスへの共感です。

先程「激務を激務だと思わない、その企業での仕事が好きな人が向いている」という話をしましたが、この共感が仕事への好き嫌いに繋がってきます。

スタートアップだからその企業に入る、という転職活動の方針はダメです。企業理念や行っているサービス、これから展開する予定の事業などに共感した企業がスタートアップやベンチャーだった、というのが理想形だと言えます。

スタートアップやベンチャーを前提条件として求人を探すとしても、共感できない会社は選ぶべきではありません。共感ができなければ、そこでの仕事も好きにはなれませんからね。結局は激務に押しつぶされてしまう可能性が高いです。

さらに、スタートアップやベンチャーの場合は特にそうですが、企業理念は人間関係の雰囲気を推察する材料にもなります。その理念に共感する人間がその企業に残るため、共感ができなければ人間関係も合わないケースが多いです。

しっかりと企業分析を行い、共感できる会社を探しましょう。

求人先企業がどのフェーズにあるのかを探ろう

・立ち上げ直後
・サービスリリース後しばらく経った成長期
・ビジネス的問題が解決してくる時期

スタートアップには、大きく分けて上記3つのフェーズがあります。

立ち上げ直後は、社員数も数人か、多くても20人程度がほとんどです。この時期は、自社のサービスを市場に合わせることを追求しがちになります。使用する技術なども変わることが多く、新規サービスの立ち上げや創業当初にリリースしたサービスの改善などが多いです。

市場のニーズを読み解く力と、変化に対応する幅広い開発能力が問われます。

ここからサービスが市場に適合した状態(PMF)が一定に保たれてきて、サービスが成長する時期が訪れるでしょう。この時期は、ユーザーの声が届く頻度も高くなります。さらなる改善や機能追加、メインのサービスを軸とした派生サービスの展開などを行うことが多いです。

そのため、この時期に入社すると企画立案に携わる機会が増えます。一方で、PMFがある程度一定になったことで、既存サービスでさまざまな検証を行う場合もあるんです。その場合、新機能実装などの開発スピードが遅くなったり業績がかえって不安定になったりします。

この時期に求められるのは、スピード感のある対応力とリカバリー力です。

そこからさらに進んでいくと、ビジネス的問題が解決してくる時期になります。資金を投入すれば伸びるだろう、と見込める時期だとも言えるでしょう。既存サービスをさらに伸ばしていく一方で、既存サービスとは方向性の異なるサービスを展開することもあります。

そして、特定領域に力を入れることも多いです。ここまではゼネラリストが求められましたが、ここからはスペシャリストが求められます。特定分野の技術に強いエンジニアは、この時期に入社すると重宝されるでしょう。

エンジニアリングへの投資、人材への投資も積極化するため、社員の給料も増えがちです。

このように、フェーズによって求められる人材像と働き方、給料などさまざまな部分が変わってきます。自分に合ったフェーズの会社を探すことが、大切です。

給料が低すぎる会社は選ばないようにする

スタートアップなので、大手に比べると当然給料は低くなります。ベンチャーでも、メガベンチャー以外の多くには同じことが言えるでしょう。

ただ、市場平均からあまりにも逸脱して低い会社は、選ばないほうが懸命です。その企業がどの段階にあるかにもよりますが、給料が低すぎる会社はエンジニアリングへの投資ができていないと考えられます。

もし立ち上げ直後なら仕方がないと言えるかもしれませんが、立ち上げからそこそこ経っているのに市場平均より大きく下がる場合は避けたほうが無難です。

ITに関する事業を行っているのにも関わらずエンジニアリングへの投資をおろそかにしているようでは、将来はないでしょう。

エンジニアリングへの投資をしっかり行わないと、サービスの開発がどんどんしにくくなったり、サービスの改善などが難しくなったりします。エンジニアリングにかかるコストはさまざまですが、求人ですでに見える人件費(給料)を基準に転職活動をすると良いでしょう。

最終的には人間の好き嫌いで判断する

スタートアップやベンチャーをエンジニアの転職先として選ぶ際、仕事の好き嫌いが重要だと説明してきました。

仕事の好き嫌いと同時に、最終的な判断基準となるのが人間の好き嫌いです。

ここまで語ってきた判断基準から求人を振り分け、複数の候補が残ったとします。それらの面接を受けて、複数企業から内定を得ることもあるでしょう。人間関係の好き嫌いは、その際の判断基準に使えます。

スタートアップやベンチャー企業は、仲間意識が強いです。社員同士の密接度も高い傾向があります。

そのため、一緒に働く仲間を好きになれなければ、その会社で働き続けることは難しいです。

スタートアップやベンチャーは近年、社長や立ち上げメンバーがSNSなどで積極的に情報発信や意見発信をすることが多い傾向があります。そういったところで、好きになれそうかを判断し、面接の際の雰囲気も考慮して選ぶと良いでしょう。

スタートアップ・ベンチャーへの転職は投資! 働く価値を見極めよう

エンジニアにとって、スタートアップやベンチャーには大きな魅力があります。一方で、デメリットも大きいです。向き不向きも激しく、あらゆる意味で安定性に欠けています。人生をかけた投資だと言えるでしょう。

スタートアップやベンチャーに転職する場合、慎重に企業分析を重ね、自分に合う企業かどうかを見極めることが何よりも大切です。

投資する価値があるか…つまり、働く価値があるか見極めましょう。

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この記事を書いた人

管理人のよしぞと申します。
フリーランス業界で働いている管理人が、業界で働く様々な視点からフリーランスエンジニアに挑戦するためのノウハウを掲載。独立を考えている方にとって手助けになるサイトを目指しています。

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