未経験からフリーランスエンジニアを目指している人は、結構多いです。その中には、「在宅で仕事ができたらなあ」という理想を抱いている人も、いるでしょう。
ただ、未経験でいきなり在宅フリーランスエンジニアになるのは、実はかなり難しいんです。
フリーランスエンジニアが在宅で仕事ができるかのポイントは、一人称で一通りの業務が行えるかどうかなんですよ。
※一人称で仕事をするというのは、自分ひとりで業務を遂行することを指す。
つまり、「一人で開発できます!」「御社の求めるミッションは私一人で達成可能です!」と言えるほどの実績と技術が必要だということです。
そのことを踏まえて、これから、未経験で在宅フリーランスエンジニアになるのが難しい理由と、未経験からフリーランスエンジニアになるのに必要なアクションについて紹介しましょう。
未経験で在宅フリーランスエンジニアになるのが難しい6つの理由
未経験で在宅フリーランスエンジニアになるのは難しい、と冒頭で語りましたね。「一人称で一通りのエンジニアリングが行える」という条件からも、なんとなく難しさがわかってもらえるかと思います。だけど実際は、それ以外にも未経験で在宅フリーランスエンジニアになるのが難しい理由が、6つあるんですよ。
基本的な準委任契約にて在宅業務させるかどうかはクライアントが判断
フリーランスエンジニアが仕事を得る場合、エージェント会社を通じて案件を紹介いただき準委任契約(SES契約)を締結するケースがほとんどです。
準委任契約(SES契約)においては、現場に常駐して働く・在宅で働く判断はクライアント側の判断にて決まるものです。
近年コロナ渦にて在宅ワークでの案件も増えていますが、現場ワークか在宅ワークかを決めるのはクライアント側。
つまり、フリーランスエンジニアが「在宅ワークしたいです」と言っても、聞き入れてもらえないということです。
そもそも実務経験が無いと契約してもらいにくい
そもそもの話になるのですが、フリーランスエンジニアは実務経験が無いとなかなか契約をもらえないんです。
理由は、クライアントがフリーランスエンジニアに「即戦力」を期待しているため。
正社員として雇うのであれば、成長を期待して長い目で見てくれます。最初は簡単な仕事から任せて、スキルと実績をつけさせて徐々に難しい案件を任せるということができますしね。
一方フリーランスエンジニアに業務委託をするときは、「この案件が遂行するまで」という期限付きがほとんどです。
そのため、これから行う、もしくは今遂行中の業務に対応できる人材を探しています。
だから即戦力にならない人とは、契約できないんです。
在宅となると、さらに厳しくなります。
企業はある程度の信頼がある人にしか、在宅ワークを認めない傾向があるんです。
だから、そもそも実務経験が無ければ契約が得にくいし、在宅なんてもってのほかということなんですよ。
同じ未経験者を指導するのであれば、正社員の未経験者が優先される
未経験者には、当然指導が必要ですよね。
だけど同じ未経験者なら、正社員の未経験者(新人等)が優先されます。これは企業として、当然の話ですよね。自社で直接雇っている新人の教育をおろそかにしてしまってはいけませんし、正社員より外注先を優先してしまったら社員からの信用が落ちますし…。
未経験者の指導をしてくれる会社もありますが、基本的に二の次です。
みっちりゼロから指導してくれるなんてことは、なかなかありません。少なくとも、実務経験はなくても基本的なスキルを持っているという状態でなければ、ダメなんです。
クライアントにリモートで未経験者を指導するノウハウが不足している
多くのクライアントには、リモートで未経験者を指導するノウハウがあまり蓄積されていません。
昨今はコロナ禍という情勢があり、リモートワークを導入するIT企業は増えています。だけどそれまでは、基本的にITの開発は「チームで集まって行うもの」だったわけです。
未経験者の指導に関しても、直接会って行うのが基本。
そして、直接現場で指導するのと、リモートで指導するのとでは勝手が異なります。リモートで指導するノウハウが足りなければ、必要十分な指導は行なえません。
そういう都合があるため、未経験者が最初から在宅で仕事を行うのは、難しいんですよ。たとえ最終的に在宅ワークに切り替わったとしても、まずは対面して指導ということになります。
現場業務のように気軽に話を聞いたり、相談したりできない
未経験からしっかりとした戦力になろうとするとき、現役のプロに話を聞いたり相談したりする必要が出てきます。
エンジニア以外でも、基本的には同じです。
たとえば、「スケートのオリンピック選手になりたい!」と思ったとしましょう。だけどあなたは、全くの未経験者です。
いきなりプロにはなれません。
多くの人は、経験豊富な人にコーチになってもらおうと考えるでしょう。現役選手ならなお良いですし、オリンピックに出たことのある人なら最適ですよね。
エンジニアも同じです。
経験豊富なエンジニアから「どんなスキルを身につけるべきか」を教わったり、何か疑問点が発生したとき「こういうケースではどうしたらいいか」を相談したりして、学習していくことが必要になります。
現場業務だと、すぐ近くに諸先輩方がいるので、気軽に聞けるでしょう。
しかし在宅フリーランスだと、そうはいきませんよね。
だから、未経験が最初から在宅でプロのエンジニアになるのは、独学でスポーツ選手になるのと同じくらい難しいことだと言えます。
在宅OK率が高い「完全請負型」の案件は、未経験者には難しい
これまでエージェント会社を通じて仕事を受ける準委任契約を前提にお話してきましたが、請負契約についてもお話します。
仕事を完遂させる責任を負う「請負契約」は、業務場所は請負主となるフリーランスエンジニアが自由に決められます。※業務場所が定められるケースもあります。
ただ、完全請負型の案件は、未経験者にはかなり難しいんですよ。先程も述べましたが、請負型の仕事は「完成させる責任」があり、成果報酬に近い案件です。能力の低い人・実績のない方に「とりあえずやってみて」と振るわけには、いきません。
準委任契約を結ぶときよりも、クライアントは慎重になります。
より信頼でき、より技術のある人にお願いしたいと考えるのが常です。
比較的未経験でも受けやすいとされる準委任契約は現場常駐が求められ、比較的在宅OK率が高い請負契約は経験豊富さが求められる…。
だから、未経験者が在宅フリーランスエンジニアになるのは難しいんですよ。
未経験からフリーランスエンジニアになるには、必要な7つのアクションがある!
ここまで、未経験が在宅フリーランスエンジニアになるのは難しいという話をしてきました。じゃあ未経験からフリーランスエンジニアになるには、どうしたらいいのかが気になりますよね。そこで、最終的に在宅フリーランスエンジニアになるために、未経験者が起こすべき7つのアクションを紹介します。
独学でスキルを身につける
まず、何より先にスキルを身に着けないと話になりませんよね。
独学なら、以下のような学習方法があります。
- 無料サイト
- 書籍、参考書
- 勉強会、交流会に参加する
近年はエンジニアに必要なスキルを学べる無料学習サイトが、結構あります。よく使われるプログラミング言語を段階的に学習できるので、結構重宝しますよ。書籍に書かれているような内容も語られますし、まずは書籍を参考にしつつ、無料学習サイトを使うのがおすすめです。
未経験者におすすめのサイトは、Progate。
イラストをたくさん使ったわかりやすいスライドを使いながら、すぐに手を動かして学習するという仕組みになっています。かなり効率が良いです。
さらに、プログラミングを全てブラウザ上で書くことができるので、すぐに結果を確認できるのが魅力的。
こういった無料学習サイトで知識をつけたら、勉強会などに参加すると良いでしょう。
勉強会には現役の人も講師として来ますし、同じ職種を目指す人同士で交流することで学習がより深まります。
何より、仲間がいる安心感が得られて、挫折防止になりますよ。
ただ、学習サイトの学びは「プログラミング」ばかりです。エンジニアに求められるのはプログラミングだけではありません。
エンジニアに必要な知識・スキル・思考などを独学で習得するには、結局書籍に頼らなくてはいけなくなります。
本もしっかりと、買っておきましょう。
スクールに通ってみる
最初は独学でも良いのですが、独学だとどうしても超えられない壁にぶつかることがあります。
独学はわからないことを人に聞けませんし、仲間も見つけにくいですから。
そこで、スクールに通うことをおすすめします。スクールに通えば疑問点・問題点をすぐ相談できるので、壁にぶつかってもその都度解決し、乗り越えることができますよ。
仲間もいるので、挫折しにくくもなります。
プログラミングスクールだけでなく、エンジニア養成スクールも近年は増えてきているので、自分に合ったスクールを探し、通うようにしましょう。
資格を取得する
未経験からフリーランスエンジニアを目指すなら、資格は取っておきたいところです。
資格がある人と無い人とでは、当然、ある人のほうが信用されます。特に実務経験のない未経験のスキルを判断する材料として、資格は重宝されているんです。フリーだけでなく、転職面接の際も資格を評価してもらえるケースは、多いんですよ。
それなのに資格を取得しようとする人は、意外と多くありません。
その中で資格をいくつか持っていると、他の未経験者との差別化になり、有利ですよ。
必要な資格は、活躍の場によって変わります。
Web系なら「AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト」あたりが有用ですし、インフラエンジニアならCCNA、LPIC or LinuCレベル1あたりが有用です。
最初は比較的どこでも評価対象になりやすい、基本情報技術者試験を受けることをおすすめします。
上記に挙げた資格は、どれも難易度が入門レベルであり、なおかつ評価されやすい資格です。取っておいて損はありません。
他にも、情報セキュリティマネジメント試験や、各プログラミング言語に関する認定試験などを取得しておくと役立ちます。
これまで学んできたことを定着させる意味でも、資格試験を受けてみましょう。
ロースキルでも対応可能な案件を見つける
基本的なスキルを得たら、実際に案件を探してみましょう。
まずは、スキルが低くても対応できる案件から始めてください。たとえば、キッティング・オペレーター、テスターなどは、経験が浅くてもエントリー可能な案件が多いです。
キッティングというのは、「メーカーから出荷されたPCを、ユーザーに納品する前に、ユーザーが求める仕様にしておくこと」を指します。
つまり、すぐに業務で使えるようにしておくことですね。
IT関係の仕事の中では、比較的初心者でも対応しやすい業務です。
その分、契約金額も低くはなります。
ただ、最初はとにかく実績を増やすことが大切です。
この段階ではなかなか稼げなかったとしても、「将来稼ぐために大切な登竜門」だと考え、挑戦しましょう。
なおエージェント会社は、エンジニアの技術力以上に、人物面を見て仕事を依頼するかしないかの判断をします。
ロースキルな案件からスタートでも、実務経験で信用を勝ち取ることで、次の案件、その次の案件で在宅ワーク案件を紹介してくれるケースも増えてくるでしょう。
ポートフォリオを充実させる
ポートフォリオというのは、自分の作品の例をまとめたものを指します。エンジニアの場合は、アプリやWebサービスなどですね。
経験者は「これまで参加したプロジェクト」「業務で作成したサービス」などを、掲載します。
未経験者は実務経験が無いので、実績を示すというよりも「技術力を示す」ものになると考えてください。
0の状態からどれだけ作品を仕上げられるか、どれだけのクオリティを出せるか、コーディング技術があるかなどを示すのがポイントになります。
凝ったものより、誰見てもわかりやすいもののほうが評価されやすいです。
さらに、ユーザーの需要に応えられるかどうか、コードが整っているかどうか、作品に明確な意図が込められているかどうかなどが評価基準になります。
それらを意識しながら作品をつくり、「概要」「作成意図」「こだわったポイント」「使用した技術」「機能」などの解説を加え、ポートフォリオにしていきましょう。
ポートフォリオを充実させれば、あなたのスキルをクライアントにアピールできます。そもそもポートフォリオが無いと応募できない案件も多いので、本格的にエンジニアとしての案件を探す前に、しっかりと用意しておきましょう。
現役エンジニアの相談相手を見つける
これまで再三に渡って述べてきたとおり、未経験者にとって「現役エンジニアの相談相手」はとても重要です。
相談相手がいれば壁に当たっても解決策が見つけられる可能性が高いですし、学びも深まりますしね。
逆に、相談相手がいなければ壁に当たって挫折してしまったり、しっかりとした学びが得られにくくなったりしてしまいます。
会社に所属しないのであれば、自分で相談相手を見つけましょう。
たとえばフリーランスエンジニアとして成功している人にSNSなどでコンタクトを取ったり、勉強会に参加したときに出会った講師などと連絡先を交換したりする方法があります。
関係が薄い人とコンタクトを取るのは勇気が要りますが、相談相手が居るのと居ないのとでは雲泥の差があるので、勇気を出してコンタクトを取りましょう。
複数のエージェントに登録する
フリーランスエンジニアに案件を紹介してくれるエージェントや、クライアントとワーカーとを結ぶ仲介サイトは結構たくさんあります。
仲介サイトだと、クラウドワークスやランサーズが有名です。案件が掲載されていて、そこに応募することで案件を受注できるというもの。仲介サイトは「契約するかどうか」がクライアント判断なので、未経験者だからといって利用できないということはありません。
まずはここでスキルが低くても受注しやすい仕事を探すのが、有効です。
ただ、フリーランスエンジニア向けのエージェントにも複数登録しておきましょう。
複数のエージェントに登録しておくことで、仕事を紹介してもらえる機会が増えますから。
もちろん大手などからは、「未経験者に紹介できる案件はない」と突っぱねられることもあります。
それでもめげずにエージェントを探して連絡を取り、登録できるエージェントには片っ端から登録しておきましょう。
未経験からの挑戦は厳しいけど、ひとつずつ壁を乗り越えていこう!
未経験から在宅のフリーランスエンジニアになるのは、かなり厳しい挑戦です。最初から在宅で仕事をするのは困難だとしても、一歩ずつスキルと実績を積み重ねていけば、最終的には在宅フリーランスエンジニアとして活躍できるようになる可能性があります。
厳しい挑戦になりますが、ひとつずつ壁を乗り越えていきましょう!