インテリジェントスイッチといえば、スイッチングハブより高性能で、多機能なスイッチのことを指して言うことが殆どです。
中には、スイッチングハブでも充足する環境にインテリジェントスイッチを導入している事例もありますが、それだけ、インテリジェントの高性能かつ、安価である状況は、様々な環境に適用出来る強みがあるからです。
インテリジェントスイッチは、フロアスイッチやエッジスイッチとして活躍していますが、その性能と、最近のトレンドについて、迫っていきます。
インテリジェントスイッチとは何か?L2周辺をマネジメントする高性能スイッチ
インテリジェントスイッチは、主にレイヤー2周辺をサポートしますが、レイヤー2とは、VLANやMACアドレスなどの関連付け、RadiusやCaptive-Portalなどの認証プロトコルのことを指します。
認証キーやMACアドレスなどで制御やステータスを表示しますので、ノンインテリジェントスイッチと比べ、一歩進んだ管理が可能となります。
また、レイヤー3を擁するレイヤー3スイッチなどと比べ、ルーティングを行わないため、IPアドレス単位での制御を行いません。
しかしながら、レイヤー2界隈以外でも様々な機能を擁しており、SNMPやQoSなどの制御を行えるほか、SSHやTelnetなどで管理アクセスが可能となっています。
最近のスイッチは、HTTPやHTTPS、つまり、Webブラウザで接続可能なWebUIを展開できることも多く、これらをスマートスイッチと呼んでいたりします。
オフィスフロア周辺で活躍するアクセススイッチ
オフィス周辺で展開されるアクセススイッチは、エッジスイッチやオフィススイッチとも言われ、ユーザーサイドのパソコンやスイッチングハブ、プリンタなどが接続されます。
VLANを切り分けて管理する機能を持ちますので、ポートごとに定められたVLANとセグメントを持ち、VLANの違うポート同士は、直接通信することができないように設計されています。
多ポート構成であることが多く、たった1台で1フロアあたり300人規模のネットワークをフォローすることもあります。
[参考] アライドテレシス Secure HUB GS980 MXSeries
国産のネットワークスイッチメーカーであるアライドテレシスのエッジスイッチは、実際の耐用年数が長く、保守切れの状況下でも、未だに稼働中のスイッチがある位、強固なつくりをしています。
このスイッチはエッジスイッチを謳っておきながら、レイヤー3、つまり、ルーティングを行う機能を持っています。
また、専用のSFPモジュールによって、1ポートあたり10~80Gbpsの通信が可能です。
これをアップリンクのルータやL3スイッチへLAGで接続させることで、より安定的な通信が可能となるわけですね。
[参考] パナソニック Switch-M48eG
Panasonicのスイッチは、管理UIの分かりやすさや、シンプルかつ扱いやすさが定評を受け、よく現場に導入されているエッジスイッチのひとつとなっています。
しかし、独特のインタフェースとシステム構成を持っており、他社スイッチでは論理的に不可能だった機能が可能となっていたりするため、不思議な動きや設定が実施されていることも多いです。
現場に導入されていることが多いスイッチの一つとなっています。
拠点内の全体をカバーする、ディストリビューションスイッチ
その拠点へ集約されたネットワークトラフィックは、いずれ1箇所に集約されて、通信先を寄り分けられるのですが、この「ユーザ通信で最も膨大なトラフィック量となる」部分がディストリビューションと呼ばれる領域です。
この部分はより強力なネットワークスイッチを用いることが多く、スイッチングファブリックは、最大限のものが求められます。
また、アクセススイッチと比べて、停止不可な状況が想定されるため、より強固な冗長化構成が求められます。
そのための機能や能力が充実したものがディストリビューションスイッチとなります。
[参考] Juniper EXシリーズ
海外ではCiscoに次いで2位のシェア率を持っていたこともあったJuniper機器は、ディストリビューションスイッチとしてもその性能を発揮します。
特にバーチャルシャーシスタッキングという「2台~10台以上のスイッチ群を、一つのスイッチに統合管理する」目玉機能があり、これにより、拠点全体のスイッチングファブリックの最適化と、管理の統合という、2重のメリットを持たせることが可能です。
[参考] Alaxala AX3600Sシリーズ
聞きなれないメーカーかもしれませんが、同社はNECと日立が共同出資の結果、立ち上がった国産ネットワークスイッチメーカーです。
性能はそこそこに、操作性と安定性に優れ、特殊な要件が多い企業やシステムベンダに好んで利用される傾向があります。
サーバ周辺でトラフィックを高速化させるコアスイッチ
コアスイッチは、各ディストリビューションスイッチから収集されたトラフィックを全て取り扱うため、ディストリビューションスイッチの数倍以上の性能を求められます。
コアスイッチはその企業や集合体の集約スイッチとなるため、ネットワークの生命線ともなり、究極的な冗長化が求められるため、前述のスタック構成やColdStandby構成、LAGやMLAGなどの機能をふんだんに使用され、殆どの場合は2台以上のスイッチが現場に設置されている状況となります。
スイッチングファブリックも、超高速である要件が求められ、ハイエンドな機器が選定されるのが、コアスイッチの特徴です。
[参考] Cisco Catalyst 9500 Series
さすがは、老舗のネットワークスイッチベンダである故、高価ながらも高性能な機器をリリースしているのがCiscoの最大の特徴です。
そのバリエーションも多岐に渡り、Ciscoの教科書や専門書、そしてその資格試験が出回る位、機能も充実しています。
[参考] ARISTA 7280R Series
Aristaは、昔からスイッチングファブリックがオーバースペック気味のネットワーク機器をリリースすることで有名なベンダです。
スタック以前からMLAGという冗長化機能を持っており、柔軟な冗長化が可能な機器一つとして、大学や研究施設、大企業から重宝されてきました。