法人ネットワークについて、インターネット回線を全般的に利用し、Internet VPN環境を構築している企業が大多数を占めていると思われます。一般的な光回線は、インターネット回線に関しては、あくまで「ベストエフォート」であり、1本の回線に複数のユーザが相乗りする形をとっています。
しかしここにきて、テレワーク需要の拡大や外出自粛モードの影響からか、インターネット回線の速度が頻繁に低下しているようです。
この状況説明や打開策を含め、解説していきたいと思います。
コロナ渦の影響で速度低下するインターネット回線
ご自宅でのテレワークや、動画視聴中に、一時的に回線が遅くなったり、突然繋がらなくなったりすることは多いのではないでしょうか。
これは、NTTフレッツ光の申し込みの殺到や、普段使わなかったユーザが同様に回線を利用することで、パンク状態になってしまうことが挙げられます。
NTT等の光回線業者も、常態化する回線速度の遅延に対応するために、日々、光ケーブルの埋設に勤しんでおりました。しかしこのコロナ渦を予測していなかったため、より一層、事態の悪化に拍車がかけられる状況となってしまっています。
マンション光等は概ね4戸の契約があれば成立できますが、この1Gbps~10Gbpsの光ケーブルを取り合いになってしまいます。
また、その回線の収容局においては、また各地からのインターネット通信をまとめて収容するため、限界が生じてしまうのです。
NTTフレッツ光などは公に遅延状況を公開しておりませんが、日中のコアタイムや、夜中の家庭内においては、ひどいときには1~10Mbps程度の速度しか確保できないこともあります。
代案として、携帯キャリアが提供するモバイルルータサービスもありますが、これはこれで、地域ごとに回線が安定しなかったりと、少々癖のあるLTE回線を使用します。
しかしこれが法人ネットワークであれば、ひとたまりもありません。
いまや、PCやスマホから受信するデータが無ければ仕事になりませんので、法人の情報システム担当者は、この問合せに四苦八苦することになりそうです。
インターネット回線に「裏道」アリ?人気上昇中のダークファイバ回線
インターネット回線に「誰も利用していない裏道」は無いものでしょうか。
近年より、ダークファイバという、なんだかアンダーグラウンドチックな用語が出てきましたが、これが「インターネット回線の裏道」になります。
具体的には、ダークファイバは、Nuro光等のサードパーティベンダー製の回線が該当します。
NTTが、販売促進や独占禁止法対策のためか(真意は不明です)、インフラ提供企業へ、自分のところの予備回線を提供するようになりました。
この回線は当時、NTT提供のそれよりも安価な回線として売り出しておりましたが、加入者が比較的少ない分、回線速度が比較的安定していました。
ここにきて「最も安定する、一般/法人どちらでも利用可の回線ではないか」と目されるようになってきています。
ダークファイバーの取扱い業者は、前述のNuro光や、回線工事業者の協和エクシオ(法人向け)、紅丸資本のアルテリアネットワークス(法人向け)が挙げられます。
ただ現在、ダークファイバの申込者数は急増しており「申し込みから開通まで、半年から1年かかるケース」も発生しているようです。
また、ダークファイバ回線はあくまで「NTTの未使用回線を間借り」しているだけで、提供できないエリアや経路も存在することも、念頭に置いて置きましょう。
Nuro光:光回線インターネット(一般/法人可)
https://www.nuro.jp/hikari/
協和エクシオ:法人のお客様向け光アクセスサービス「EXEO光」(法人向け)
https://www.exeo.co.jp/jigyou/ni-server/exeo_hikari.html
アルテリアネットワークス:インターネット接続サービス(法人向け)
https://www.arteria-net.com/business/service/internet/
企業回線は、やっぱりWAN?帯域保証型の回線について
フレッツ光の遅延状況や、ダークファイバの申し込み遅延などと踏んだり蹴ったりの状況ですが、情シス担当やSIerとして「やはり本格的にWAN回線を導入か?」という検討までするべきなのかもしれません。
帯域保証型の回線は「企業専用にWAN回線を提供している」ものであり、遅延や断線などは「先ず、発生しない」ことが最大のメリットです。
帯域保証型WANを提供する各キャリアは、サービス毎に「SLA(サービス品質保証)」という「回線維持のための約束事」を示しており、ネットワーク稼働率を概ね99.99%保証しています。
99.99%がどれくらいの数値なのかというと、1年間(365日) x 24時間の99.99%を稼働率として、年間に60秒ほどしかサービス停止を行わない、という試算になります。KDDI WVS2等の回線サービスでは「年間のダウンタイムは48秒以下」と言われています。
では、これを下回ってしまった場合はどうでしょうか。
各キャリアはこの稼働率を下回ってしまった場合は「この期間、回線を充足して提供できなかった」こととして、サービス料金の返金を行います。この返金率は、各キャリアに寄りますので、キャリア毎の紹介ページでご確認ください。
WAN回線の料金は、一般の光インターネット等と比べ、やはり高額になってしまいます。しかしこれは「契約の在り処」により、ぐっと値下げしてくれる可能性があります。
例えば、50Mbpsの契約よりも、100Mbpsのほうが、回線速度辺りの金額が安価になります。また、5年間などの長期契約になると「契約期間中ずっと、その回線を利用する」とぃう前提で、見積もり価格が安価になります。
ここを上手く企業の状況へコミットしてしまえば、安定した回線を、安価に、長期間提供できる、というメリットが生まれるのです。
「一般のインターネット回線が1Gbpsとか4Gbpsとかに対して、50Mbpsや100Mbpsは遅くないか?」と言われる方もいらっしゃるかもしれません。
Internet VPNを介した通信において、各拠点間へ「Pingを打つ」か「ダウンロード/アップロード」してみてもらうとわかるかと思いますが、通信速度は常に一定ではなく、安定しないことがわかります。
一方、帯域保証型の回線は、常時、その数値の帯域速度が確保できます。
たとえ帯域保証型50Mbpsの回線でも「4Gbpsを謳っておきながら、通信度が期待値以下/30~50Mbpsで安定しない」ベストエフォート回線よりも有用なスペックなのです。
1対1のプライベート通信はIP-VPN回線
WAN回線のもう一つの強みとしては「他社・他人の回線速度が、自分たちのネットワークに影響しない」ことにあります。Internet VPNと比べ、他の回線が介入する術がないことは、社内インフラと同様に扱える状況となるのです。
下記、WAN回線における、拠点間(1対1)VPNサービスをピックアップしてみました。
NTT:フレッツVPNワイド
https://business.ntt-east.co.jp/service/vpnwide/
アルテリアネットワークス:VPN
https://www.arteria-net.com/business/service/intranet/
ソフトバンク:IP-VPN
https://www.softbank.jp/biz/nw/ip-vpn/
複数拠点間のプライベート通信は広域イーサネット回線
WAN回線は拠点間(1対1)サービスを提供するに留まりません。複数拠点(多対多)の通信においては、広域イーサネットサービスがおススメです。
広域イーサネットは「拠点別にインターネット環境を提供できる」「ウィルスチェックやメールサーバ等をキャリア側が提供できる」「WAN内にプライベートクラウド環境を構築できる」等の、各種サービスが充実しています。
KDDI:Wid Area Virtual Switch2
https://biz.kddi.com/service/network/kddi-wvs2/
NTT:ビジネスイーサワイド
https://business.ntt-east.co.jp/service/wide/
アルテリアネットワークス:ダイナイーサ・ワイド
https://www.arteria-net.com/business/service/leaseline/dynaetherwide/
以前より手狭だったインターネット環境は、コロナ渦の影響により、さらに手狭になっている状況をお伝えいたしました。
これを機に、WAN回線の導入を検討するのも、おススメしたい処です。