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定年後のシステムエンジニア(SE)が大奮闘!経験豊富で体力も気力もあるけど意外な落とし穴が

定年後は自分のペースで働きたいと思うITエンジニアは多いです。

でも、本当に定年後にフリーで活躍できるのか不安な方も多いのではないでしょうか?

この記事ではSESの営業経験のある筆者が、定年後のフリーランスの方を担当したエピソードをもとに、定年後のフリーSEのリアルをお伝えします。

  • 定年後のフリーランスは仕事があるのか
  • 決まりやすい案件や需要がある案件
  • 定年後フリーランスの単価・報酬

について詳しく解説していますので、特に50代・60歳を超えた年齢でフリーランスを考えている方は参考にしてみてくださいね。

目次

大手SIerを30年勤め上げて退職!退職後は単価の高さで就活難航

私が担当した63歳のHさんは、大手SIerを約30年勤め上げて退職されました。

退職から3年は再雇用で業務を続けていましたが、社内案件終了と同時に再雇用の契約も満了。その後は就職活動をしながらSESの会社にもフリーランスで仕事が無いか依頼している状態でした。

経験は主に大型案件の上流SEで、汎用系もWeb系も豊富に経験があります。コーディングはCOBOLのみですが、JavaやPHPの知識もあり、かなりスキルは高い方でした。

上流工程に求められるコミュニケーションスキルも高く、人柄は穏やかで若手からも慕われそうな雰囲気を持っています。

それでも再就職やフリーランスとしての案件がなかなか決定しなかったのは、いくつか理由がありました。

定年後のフリーランスSEは単価の高さがネック

退職時のHさんの年収は額面で約800万円。私の会社に面接に来た際も、なるべくその年収に近づくよう調整してほしいとの要望でした。具体的には、フリーランスだと月に65万をベースに案件を紹介してほしいとの事。

Hさんが案件を探していた2017年当時、首都圏ではSEで月に65万円の案件は多数ありますが、そのほかの地域ではプロジェクトマネージャーでも厳しい単価でした。

そのためプロジェクトの予算とHさんの希望単価で折り合いが付かず、なかなか案件が決まりませんでした。

経験した言語が古いとさらに再就職が難しい

多くのプロジェクトでPM(プロジェクトマネージャー)や上流工程のSEはSierの自社社員で賄う場合が多く、フリーランスは主にコーディングやテストなどの下流で需要がある傾向にあります。

HさんのコーディングスキルはCOBOLのみで、しかも最後にプログラマー業務を行ったのは約20年前。ここでも案件と本人のスキルに乖離があり、見合う案件がありませんでした。

こなした面談は10以上!やっと決まった基幹システム移行案件

私はHさんの面談に10回以上立ち会いました。私だけで10回以上なので、Hさん自身は他社もあわせると膨大な数の面談をこなされていたかと思います。

お見送りになった理由は「単価が経験の割に高い」「他に若い人材で決定した」という理由が多く、Hさんも「もう単価は良いから、とにかくスキルに合う案件を紹介してほしい」と少々弱気になっていました。

そこで私からプロジェクトに提案する単価を少しだけ下げて営業したところ、運よく大型案件の上流工程に参画が決定しました。

決定したのは汎用系(COBOL)→Web系への基幹システム移行案件

Hさんが参画決定したのは「生命保険会社の基幹システム移行案件」でした。古い汎用系のシステムをWeb系に丸ごと書き換える案件で、予定では1年がかりの大型案件です。

SIerの自社社員はほとんど入っておらず、すぐ下の会社が5社ほど人を集めているという構造をしていました。

汎用系もWeb系もできるSEは全国的に不足傾向にある

実は、2010年代後半から全国的に「金融系」で基幹システムの移行案件が多い傾向にあります。汎用系からWeb系への移行案件は、最近の案件に多いWeb系の案件のほかに汎用系の知識も必要です。

ところが30代40代の若手SEは汎用系の経験がない事も珍しくないので、汎用系の知識もある50代60代が重宝される場面も出てきます。

今回、Hさんはそんな需要にぴったりマッチしたという事です。

定年後のフリーランスSEはどんな契約内容だった?

決定した案件でHさんにお支払いする単価は、月に60万円で時間幅は160-180でした。

時間幅とはIT業界で多く使われる「指定の時間内であれば月々の単価が適用され、時間幅の上限を超えると、超えた分を残業代として支払う」という考え方です。Hさんの場合は、月々180時間を超えたら1時間ごとに残業代が計算されるという契約内容でした。

2017年当時、首都圏以外の地域でのSE単価としては平均的な単価です。ちなみにPMなら65万円、PGや運用なら50~55万、テスターなら40万円台後半が相場でした。

定年退職後のフリーランスSEが順調に業務開始!しかし問題発生

何度も面談をこなしやっと案件が決まったHさんは、久々の案件参画にとても張り切っていました。客先からの評価も上々で、私も1年ほどは安泰かなと安心していました。

ところが、このプロジェクトには大きな問題があったんです。

案件は人手不足のままスタート

Hさんが参画した案件は、とにかく人手不足。特にコーディングの人手が不足していて、未経験の新人PGまで入れないと回らないほどでした。HさんもSE業務のかたわら、コーディングを手伝っていたほどです。

そんな中SIerの下で業務を請けている5社のうち、1社2社と手を引く会社が出てきてしまいました。

初月で200時間を超え、泊まり込みの日も発生

責任感が強くて、仕事に熱意があるHさん。とにかく仕事を進めようと頑張りますが、なんと初月の勤務時間が200時間を超えてしまいました。会社の近くにホテルを取り、ほぼ泊まり込みの日もあったようです。

200時間だと、当時私の所属していた会社で雇用契約を結んでいる会社員であれば36協定にひっかかります。フリーランスなので残業時間に規制はないものの、63歳と高齢のHさんは体調面でも心配だったので、少し残業時間を減らすよう本人とプロジェクトにお願いしました。

フリーランスには36協定は適用されないが、プロジェクトは赤字に

プロジェクト側も、プロジェクト全体の勤務時間が多すぎる事を懸念していました。フリーランスや下請け会社に丸投げするだけだと36協定や労基法はあまり関係ありませんが、残業が多くなればなるほどプロジェクトの予算を圧迫します。

Hさんが参画した案件も、見積もり時の予算よりも大幅に人件費がかかっていました。

プロジェクト全体で労働時間を調整するも、どんどん遅れていくスケジュール

予算が厳しくなってきたので残業を減らすよう調整したプロジェクトでしたが、今度はどんどんスケジュールが遅れていきました。Hさんも「もっと前に進めたいのに時間が足りなさすぎる」と悲しげです。

結局プロジェクトに参画して3ヵ月で、SIerが一旦案件を白紙に戻すことに。Hさんは、また案件を探さないといけなくなってしまいました。

退職後フリーランスSEは再び案件探しへ!長期案件への参入を目指す

その後Hさんは1~2ヶ月の短期案件で少しずつブランクを作らないよう調整し、汎用系システムの長期保守・運用案件への参画を目指すこととなりました。

私はその後事情があって転職しましたが、Hさんはその後地元密着型スーパーの保守案件に参画決定したと聞いています。

長期保守案件は、Hさんの希望単価65万円に対し50万円台前半くらいの案件が多いのですが、定年後でゆったり働きたいフリーランスには向いている案件です。また大手はWeb系に切り替えていますが、中小企業のシステムはまだまだ汎用系のままの所も多いです。

定年後のフリーランスの方は、大型プロジェクトや上流工程のみの案件だけでは勤務が不安定になりやすいです。長期保守案件も視野に入れて案件を探すと、ブランクなく上手く参画決定しやすくおすすめですよ。

余談ですが、システムエンジニアいつから定年なの?という話がよく出ます。
以前はシステムエンジニア35歳定年説というワードがありましたが、現在35歳で現役エンジニアを離れることはほぼありません。もちろん会社によっては職位的に管理職に回されてしまうため、35歳前後で現場を離れるケースはありますが。35〜45歳あたりがエンジニアとしても一番油の乗った時期だと感じます^^

筆者プロフィール

お名前:へみ
大学卒業後、関西で建設業・IT業界・製造業で人材派遣(汎用系、Web系、3DCADでの設計)の営業を5年間経験。自社社員の営業やフリーランスエンジニアとのやりとりを数多くこなす。
現在は寿退社し夫の家業である製造業の経理に従事。2児の母。
2016年からは副業で美容系ライターとしてWebメディアに数多く寄稿。2020年3月からは自身で美容系のWebメディアを立ち上げた。
趣味は美容研究、クラシック音楽、レース編み、ロードバイク。

Webメディア:30歳からの美容研究
Twitter:@hemmi81415047

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